すっかり暖かい陽気になり、公園や野原、路地やお庭の草木にも色とりどりのお花が咲くようになりましたね。今回はそんな風景とともに楽しめそうな草花のイラストの描き方をご紹介したいと思います。
●●ABTドロップアレンジを活用したお花イラスト
メインで使用するのは水性マーカー『ABT』の「ドロップアレンジ」というテクニック。ABTのブラッシュ芯の形状と弾力を生かしてスタンプの様に押す技法です。描くのがちょっと苦手という方でも気軽にトライできます!
●●ドロップの描き方
画用紙にABTのブラッシュ芯の先端から側面を押しつけると、滴(ドロップ)のような形を描くことができます。そしてこの滴型は、押しつける芯の角度や筆圧によって大小、太さに様々な変化がつけられます。この色々な型のドロップを組み合わせ、アレンジしながらお花のイラストを描いてみましょう。
ドロップアレンジについてはABT特設サイトなどにも実践動画があるのでそちらもご覧になってみてください。
●●まずは1枚の葉っぱを描いてみよう
ドロップをひとつ描き、細芯で葉の柄を描き加えると、一枚の葉っぱのできあがり。ドロップの長さや太さを変えながら練習してみてください! 慣れてきたら、ふた葉、三つ葉とバリエーションを。
●●ドロップを組み合わせて葉っぱを描いてみよう
次にドロップを組み合わせて、ちょっと複雑な形の葉っぱを描いてみましょう。
●●茎に沿ってドロップを押してみよう
今度はツタのような葉っぱを描いてみましょう。ABTの細芯の方で柄(茎)の部分を描いてから、それに沿うように葉っぱのドロップをつけていきます。大きさや向き、葉と葉の間隔を変えながら描き分けてみましょう
●●色々な形の葉っぱを描いてみよう
ドロップの大きさや向きで表現できる葉っぱの形はたくさんあります。実物を観察しながら表現の幅を広げていくのも楽しいかも知れませんね!
●●同じ形でも使う色で印象が変わる
葉っぱは緑の色以外に、紫や赤みがかったもの様々。さらに季節で朱色や黄色に色づくものもありますよね。形以外にも色のニュアンスで葉っぱの表情を描写してみましょう!
●●いろいろな形のドロップでお花を描いてみよう
葉っぱの描き方でドロップの仕組みが分かってきたら、今度はお花部分をドロップで描いてみましょう。花の形は葉っぱ以上に個性豊か。まずはいろいろな形のドロップのつけ方について解説します。
同筆圧ならば、ペンの角度が垂直に近いほどドロップの長さは短くなり、ペンを斜めにするにつれ、ドロップは細く長くなります。また筆先を画用紙につける時間が短いとドロップの幅は狭く、じっくりと押しつけると幅は広くなります。使用する画用紙や筆先の使い込み具合によって多少の差がでますが、筆圧・角度・押しつける時間の加減で上図のような変化がドロップの形状に与えられます。思い通りにドロップの形をコントロールできるようになってきたら花びらを描いてみましょう!
●●お花と葉っぱを組み合わせてみよう
花が描けたら、茎、葉っぱを組み合わせて一輪の花を描いてみましょう!
まわりを囲む花びらのドロップは画用紙を回転させながらつけていくと、角度や大きさを揃えやすいので、カードサイズなどのコンパクトで取り回しのしやすいものに描くのがオススメ。
以上がドロップアレンジによるお花の描き方の基本になります。今度はドロップを更にアレンジしながら、身の回りにあるお花をモチーフに描いてみましょう。それらに役に立つTIPSを紹介していきたいと思います。
■ドロップを重ねるバリエーション1
ドロップの丸まった側を重ねるテクニックは先割れた桜の花びらなどを描くのに便利。ドロップをいくつも重ねて行くとナデシコのようなギザギザ型の花びらにもできます。
■ドロップを重ねるバリエーション2
ドロップの尖った側同士をくっつけるハート型はシバザクラの花びらのようですね。さらに繋ぎ合わせていくと、波打つ花びらや、先端の丸まっているお花にも使えます。また、丸まっている側を重ね合わせると、スイセンのような三角形の花びらにもなります。
■さまざまな形のドロップを組み合わせる
蝶や鳥、ラッパのような形をした個性的なお花たち。さまざまな大きさ・角度のドロップを組み合わせて表現してみましょう!
■ランダムにドロップを重ねてみる
八重の花や小さな花が密集したお花の表現には、向きやサイズを不規則に少しずつ変えながらドロップを重ねてみましょう!
■房状の花を表現してみる
こんもりとしたお花や、穂状のお花の場合は、目立たない色の色鉛筆などで大まかな形を目印で描いておき、その枠内にドロップをつけていくと房の形を整えやすくなります。先端や上部の方などはドロップを小さくしてつぼみなどを表現すると、花がより生き生きしていきます。
・色鉛筆で薄く目印の枠を描く
■色を重ねてみよう
濃さの違う同系色を重ねて立体感や模様を表現。薄い色のドロップを先につけ、濃い色のドロップを重ねていくと立体感や濃淡のメリハリがつきます。
■カラーレスブレンダー(N00)でぼかし加工を施す
描いたドロップの上から、無色インクのカラーレスブレンダーの筆芯で軽くたたいていくと、ドロップがにじみ、ぼやけていきます。花びらにグラデーションをつけたり、細かい房状のお花や、綿毛のようなお花などの表現に。
●●つぼみを描いてみよう
満開の花だけだとイラストが単調になりがちに。そんなときは、花の中につぼみを交えるのも。つぼみは筆圧を弱めにして、小ぶりのドロップで描いていきます。咲いているお花のカラーよりも若干トーンを落とした(淡い)色を使うと、メリハリもつき、つぼみの初々しい雰囲気を出しやすいです。
●●ドロップアレンジに他の画材を組み合わせてみよう
ススキのような細長い葉っぱや、ひまわりのような大きな中心部、かすみ草のような白くて小さい花などを描くのはドロップだけだとちょっと大変。別の画材の力をちょっと借ります。これらを組み合わせるとより多彩な草木の表現ができるようになります。
■色鉛筆や筆之助と組み合わせる
■「ドット」と「ドロップ」を組み合わせる
■油性色鉛筆の耐水性の性質を利用する
■いろいろな植物を表現してみよう
鮮やかな色のお花以外にもさまざまな植物をドロップで表現してみましょう!
●●描けたイラストを日常で使ってみよう
■シンプルイラストなので小袋やメッセージカードのあしらいに便利
無地のポチ袋に描いてみました。使う色を予め決めて用意しておくとリズムよく描けますよ。
薄手の紙袋に描いてみました。ABTは裏写りしにくいので薄い紙にもキレイに描けました。
メッセージカードの飾り模様にも。ドロップアレンジは慣れてくると、短時間でさっと描けて便利です。
カードに余白部分をつくる時は、白抜きにしたい形に切り取った紙を貼りマスキング。貼り付けにはピットタック(貼ってはがせるタイプのテープのり)を使用。
●●描きためても楽しい
日常で出逢った花たちを描いてストックしていくのも。花の名前をレタリングしてみたり、花言葉を添えて知識を深めるのもよいかもしれませんね! 名刺サイズのカードなど同形の紙に描いていけば、ファイリングもカンタン。たまってきたら季節や色ごとなどに編集していくと楽しみが増えていきそうですね。
単語帳に描いてみました。描いたイラストには色番号をメモしておくと、必要な時にササッと使えるアイディア便利帳としても役立ちますよ。
■動物などと一緒に描いてみるのも
お花だけではちょっと寂しいときは、動物などの生き物のイラストと組み合わせれば、また違った趣に。季節や自然を感じさせそうな生き物のイラストの描き方をいくつかご紹介します。
■(おまけ)プレイカラードットとABTで描く草花イラスト
記事の中で紹介したドロップとドットの組み合わせアレンジの描き方ステップです。
バラとかすみ草のイラストを描く
ひまわりのイラストを描く
アサガオのイラストを描く