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【FUNART JOURNEY】tour.3 ヨーロッパのパッケージデザインを再認識してReFUN ART(後編)

アーティスト・プロフィール

TETS OHNARI(アートサバイブログ)

≫ヨーロッパのパッケージデザインを再認識してReFUN ART(前編)

 

前半はパッケージデザインの説明をしてきました。後半はプラハのスーパーマーケットで実地調査をしながら特徴や系統などを考察していきましょう。

 

ーーーヨーロッパのパッケージデザインーーー
まず、ヨーロッパのパッケージデザインの特徴をざっくりとまとめていきましょう。

 

食品成分、記載情報
化学調味料やアレルギーなどへの意識、ビーガン用やグルテンフリーなど、消費者各自にこだわりや好みがはっきりあります。チェコの人たちは皆、商品裏のラベルに記載されている原材料などをしっかり見てから商品を買っています。

 

 

こちらのピーナッツバターのパッケージには、ビーガンマーク、「ピーナッツ100%」というアイキャッチ。裏には大量の情報が記載されています。オレンジの明るい色使いや可愛いフォントがヨーロッパらしいですね。何百種類のヘルシーフードをオンラインメインで運営するこのメーカーは文字、色へのこだわりや組み合わせの強みが表れています。

 

西洋的モチーフ
その土地独特の動物や植物をモチーフにしています。みんなが知っているアイコンやモチーフを選ぶことは共感性と奇抜さを生み出します。

 

 

ビールにヤギ、石鹸には鹿。ヤギは昔から酪農家に身近な動物で、ビールブランド以外でもヤギがついた名前のお城やレストランなどがあります。またチェコでは鹿の柄が多いのは、古くから伝わる民間伝承に由来します。鹿はチェコ人の生活を豊かにし、幸せな暮らしを守り、そして貧しい人々を助けるとして敬愛されていたと言われています。神秘的な力を有し、世界の平和を守っていると考えられていたため、チェコ人にとって鹿は特別な存在なのです。

 

 

日本で見たことあるような。キノコ狩りはヨーロッパの文化。チェコでは秋になると森にキノコ狩りに出かける人が沢山います。


寒い地域でしか育たない果実、サジーの液体入りカプセル。プラハでも野草として生息しています。日本でも最近名前を聞くようになったサジーですが、セカンドハンドショップに行けばサジーの絵柄が入ったマグカップを時々見かけるほどチェコでは馴染みのある果物です。

 

 

オーガニック商品

日本よりもヨーロッパはオーガニック、無農薬、有機食材が多くて安いと聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。オーガニック専門店だけではなく、どこの一般的スーパーにもオーガニック商品のコーナーがあります。大量生産、グローバルに輸入された食材にはどういう環境で作られたかわかりません。その品質を証明する一つがオーガニック=BIOでしょう。EUでは、有機農業に対する消費者の関心が年々高まっており、有機農地も市場規模も増大しています。欧州委員会は「急成長する部門の一つ」として、欧州連合(EU)における有機(オーガニック)農業に関する報告書が発表されています。

 

 

認証ロゴ
日本での有機JAS制度のように、安全性を証明する欧州には独自の認証機関が発行したロゴがあります。
各団体で規定や制度に違いはあります。この認証を保持していくには厳しい審査、毎年の費用がかかり、今やオーガニック認証の表示がなければ売れないという習性もあり、マークの取得がマーケティングビジネスとしても大きな役割となっています。

 

これらの商品につけられているロゴについての紹介です。

 

「国際フェアトレードラベル機構 – Fairtrade International。

日本を含む14のラベル推進組織によって設立。

Euro leaf
EUの有名オーガニック認証機関

AB(Agriculture Biologique)

フランス語で「有機農業」という名の政府が制定したオーガニック認証機関、認証

Appellation d’Origine Protégée

保護原産地呼称はEUの原産地名称保護制度における地理的表示のひとつ。

Nutri-Score
2017年に作られたフランス政府による「栄養スコア」。
独自の指標により5段階で食品をスコア判定します。Aが最も良く、Eが最も低評価という意味。

 

EUの輸入環境
30年前にEUが設立されてから欧州内で作られた商品のEU圏内での輸出入は大幅に変わり、ヨーロッパ内の様々の国の商品が手軽に買える環境にあります。EU共通の規制、認証ロゴなどもあれば、コード番号、言語などローカライズさせるステッカーが貼られたりします。それでは様々な国らしさを出すパッケージデザインを見ていきましょう。

 

 

チェコの乳製品は日本のスーパーよりも品数が多く並んでいます。チェコらしい家やミルクピッチャーのイラストが描かれ、デザインの多くが数十年前の昔から変わらない味のイメージを大切にしている感じがしま
す。

 

英語の文字情報をカジュアルにデザインしたイギリスのライスチップス。西欧に比べ、歴史的にも第二ヶ国語がロシア語、ドイツ語であったチェコやスロバキア。近年のグローバルと共に英語表記は当たり前になってきています。

 

 

ドイツのソーセージに欠かせないカレーケチャップや、赤ビーツのジュースなど、インパクトと色のコントラストでデザインされています。情熱や血の赤、新緑の緑。緑と赤の組み合わせからイメージするのはやはりクリスマスですね。

 

 

自国や地元にプライドを持つフランスやイタリアのチーズのデザイン。欧州各国が自国の農業やチーズを誇る中、しかしフランスとイタリアのチーズの人気は健在です。近年国産でもEU産でも値段もそんなに変わらなくなってきました。

 

 

オランダから植木鉢のようなマイクログリーン、バケツのようなギリシャヨーグルト。目を引くパッケージで売られています。島国日本と欧州内での運送コスト、パッキング、日数などの違いを感じます。

 

 

リトアニアのコスメは、原料、プロセス、パッケージングなど、最適の国を選び作られていることから「Made in EU」と記載しています。こういった表記も最近は多くなりました。
また、記載情報に、
「Vegetarian」=動物由来の油を使っていない。
「Lab Tested」=製造工程の全ての管理体制を証明。
「Non GMO」=遺伝子組み換えをしていない 。
「Against Animal Testing」=製品開発において動物実験をしていない。
と記載されることもヨーロッパのコスメは当たり前になってきました。

 

他言語情報
EU諸国は隣接した国々で近い言語、もしくは全くルーツの違う言語が使われています。スイスのように公用語が3つ(ドイツ語、イタリア語、フランス語)あったりする国もあります。製造も運送も気軽に行いやすくなった現代だからこそ、文字情報が拡大、複雑化しています。

 

 

チェコ語とスロバキア語は90%程同じ言語ですが、兄弟国として多くのローカル商品でも二カ国語で記載されています。

 

 

オーストリアのオーツ麦ミルクの原材料の他言語情報を見て見ましょう。
AT/DE(ドイツ語)、ES(スペイン語)、 PT(ポルトガル語)、 HU(ハンガリー語)、 RO(ルーマニア語)、 IT(イタリア語)、CZ(チェコ語)、 SI(スロベニア語)、SK(スロバキア語)、 PL(ポーランド語)と、なんと10ヶ国語での記載です。語学の差異なども比べると面白いですね。

 

日本的商品のデザイン
ここで一転、今度は日本と関係した商品を見ていきましょう。日本へのイメージやユーモアが面白いですね。

 

 

しらたきのツルツル感が伝わるプラスチックビニール。ヨーロッパではアジア系の商品などに対してこの角張った書体を使うことをかなり頻繁に目にします。この書体(竹フォント)に竹っぽさを感じるたりお箸を連想させるからかもしれません。

 

マダムとエダマメの駄洒落を使うネーミング。

キノコの傘のひだ部分と日本の番傘のモチーフを合わせたコンブチャ(紅茶キノコ)のパッケージのイラスト。

 

 

現代のシンプルデザイン

 

 

陸続きでもある欧州では、オンラインショップでEU圏内の様々な商品を購入することが可能です。つまり、ユニバーサルデザインや言語情報の一元化、非言語化が求められます。これも日本ではなかなかない言語問題によるデザインの移り変わりの一つでしょう。

 

 

透明パッケージは中身を重視して見せる最適な方法。ポテトチップスやチョコレートも透明パッケージとは、色々と心配しがちな日本ではなかなか見られませんね。私もスーパーなどに何度か商品品質へのクレームをしたことがありますが、日本と違いほとんど対応してくれません。自己責任の強い国柄だと思います。

 


シンプルな文字情報、エコで簡素化された効率的なデザインとなっています。最近はこういう感じがシンプルでオシャレと言われています。下のウサギのイラストのようなチェコスロバキア時代を彷彿させるキッチュ(ヨーロッパではキーチと言う)な俗っぽい短絡的なデザインも少なくなってきました。
今後はより環境に配慮されたパッケージや、パッケージさえ要らない商品購入も人気の中、これからのパッケージと商品の関係はますます変わっていくことでしょう。

 

 

ーーーまとめーーー
スーパーマーケットに並ぶたくさんのパッケージデザインを見てきました。
ヨーロッパは民族、言語が入り混じる多様な地域です。様々な消費者のニーズや感性があり、その数だけパッケージデザインをアプローチするユニークな機会にも恵まれています。
パッケージは何世紀にもわたって存在してきましたが、デザイン性や美的な魅力を再発見し始めたのはごく最近のことです。パッケージが製品の単なる包装はなく、強力なマーケティング ツールにもなり、人の感情を動かしたり、製品やメーカーのストーリーを伝えることができるという地位まで確立されたのです。逆にパッケージデザインが保護とデザイン以上のもの、例えばブランドの社会的責任やビジョンなどの情報さえ求められるようになってきました。
これからも益々変化していくパッケージを、ぜひ皆さんも毎日のお買い物の時にちょっと目線や視点を変えて観てみてください。今まで見慣れたパッケージから再発見がきっとあるはずです。

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