2020.6.24
【FUN ART LOVERS】 Vol.8 宮田聡子
“絵を描くこと”は 私の日常に欠かせないもの。
何気ない毎日に癒しや ワクワクをもたらしてくれる。
人気モデルとして、さまざまな女性誌などで活躍中の宮田聡子さん。実は絵を描くのが大好き。最近では趣味の枠を超え、ファッションブランドとのコラボ商品のイラストを担当したり、自作の絵をもとにチャリティグッズを製作するなどしています。「絵を描いている時間は最高に幸せ♡」と話す宮田さんの『FUN ART』とは? アートを楽しむヒントを教えてもらいました。
————まずはモデルとしてのお仕事を教えてください。モデルになったきっかけ、お仕事のやりがいや苦労などを教えていただけますか?
「高校生の頃、地元の福岡でスカウトされました。その後、上京して、モデルとして雑誌などに出るように。当時はバイト感覚で始めたのですが、気づいたら、もう10年以上の月日が経っていました。このお仕事をしていて嬉しいのは、着させてもらったお洋服がキレイに見えて、たくさん売れたとき。モデルというお仕事は自分を魅力的に見せることも必要ですが、服をきちんと見せることは絶対に忘れちゃいけないなと思っています。苦労は…体型を維持することと、常に時代に合ったポーズや表情の研究をし続けることかな。ファッションに時代の流行り廃りがあるように、ポーズや表情にもそれがあると思うんです。だから、その時代時代に合った表現をしていきたいですね。あとは寒い時期の夏服、暑い時期の冬服! 何年やっていても、これはやっぱり辛いです(笑)」
————インスタグラムにご自身で描いた絵を時々アップされていますが、普段、どんなときに絵を描いているのですか?
「絵は自分のためではなく、人のために描くのが好きです。友達の誕生日に相手の好きなものやペットをモチーフにして描いたり。自分のために描く場合は可愛いお洋服や小物を見てワクワクしたとき、美術館でアートを見て感化されたときなどです。そういうときって、『あー、描きたい!』っていう創作意欲がムクムクと湧いてくるんですね。それから、気分が落ち込んだときも。集中して絵を描いていると、嫌なことを全部忘れられますから」
————どんな画材で描くことが多いですか?
「もっぱら多いのは、水彩画です。ある日、突然やってみたくなって、必要な道具を一式買い揃えました。最近は『ABT』にもハマっています。どんな画材であれ、私は“手描き”が好きですね」
————ちなみに水彩画はどんなところが楽しいですか? また、水彩画の仕上げにデジタルも利用するそうですが、どんな風に使っているんですか!?
「水彩画は絵の具や水の調合によって、優しい色を無限大に作れるところ、癒されるようなタッチに仕上げられるところが楽しいです。デジタルは仕上げに使うことが多いかな。ほぼ完成した水彩画をスキャンしてiPadに取り込んで、最後の仕上げをする感じです。例えば、動物の絵なら、毛並みを整えるとか、気になる汚れを削除するとか。撮影の待ち時間にロケバスの中で絵を描くときに限っては、手軽なiPadが活躍します。でも、このときもタッチペンを使って描くので、やっぱり、私は手描き派です!」
今回の撮影現場にたくさん持参してくれた水彩画作品の数々。
これは雑誌を見て、「この人、素敵!」と思った外国人女性を描いたもの。顔を全て描かない、画用紙はあえて余白を残すなど、構図にもこだわって。
こちらはファッション作品。
「お洋服は撮影で出会った素敵なアイテムからインスピレーションを得て。女性は可愛い〜というよりは芯があって、ちょっぴり強めの表情に仕上げるのが好きです」(宮田さん)
————以前から、「ABT」を愛用してくださっているとのことですが、どんな絵を描いていますか?
「ABTは大好きなブラッシュペン。何と言っても、描き心地が最高です! 力加減で線の太さが自由自在だし、適度な細さの筆先で細かい箇所もはみ出さずに塗れるし、良いところだらけ。全108色という豊富なカラバリだから、『こんな色が欲しかった!』という色に出会えるのも、大きな魅力ですね。ABTでもやっぱり、猫や犬などの動物の絵を描くことが多めかな。重ね塗りをして濃淡を出せるから、毛並みや目などがリアルに描けると思います」
————今回、「筆之助」も使ってくださいましたが、描き心地はいかがでしたか?
「筆之助は筆先に程よいコシがありつつもしなやかさもあって、絶妙な硬さのところに感動! だから、動物の目もとなどの細かい箇所を描きやすかったですね。それから、滲まない点もすごいです! 上から色ペンや絵の具で色を塗っても滲まないから、絵の主線として大活躍間違いなし。その上、絵を描くだけでなく、書類に文字を書くのにも良さそうですね」
————画材に限らず、絵全般を描く上でこだわっていること、マイルールはありますか?
「新しいペンをゲットしたら、必ずカラーチャートを作っています。キャップなどに表示された色と実際に紙の上にのせた色とでは見え方が微妙に違うことがあるので、カラーチャートがあるとすごく良いんです。絵を描くときに『うーん、トップスをこの色にするなら、スカートはどの色にしようかな?』なんて、このカラーチャートを眺めたりして。でも、カラーチャートを作っている時間そのもの、そして、完成したカラーチャートを眺めている時間こそが単に幸せだったりします(笑)」
手描きの絵には温もりや癒し効果が。
大切な人にどんどん贈りたい。
————手描きの魅力はズバリ、どんな点だと考えますか?
「もちろん、デジタルも素敵なんですが、私自身の経験を振り返ってみると、人に差し上げたときに喜ばれる確率が高いのが“手描き”かなって。手描きの絵は温もりや癒しが伝わりやすいのかもしれません。渡したとき、すごく喜んでもらえて。そんなとき、最高に幸せな気持ちになります。ちなみに手描き好きが高じて、タイポグラフィー、カリグラフィーにも挑戦中。友達にメッセージカードを描くときくらいしか描く機会がないので、スキルはまだまだですが…」
————そもそも、絵はいつから描くようになったのですか? 子供の頃から、アートが身近にあったのでしょうか?
「小さい頃から絵を描くことが好きでしたが、デザイン系の高校に進んだことがアート好きになった大きな理由かもしれません。モデルのお仕事をするために上京して転校したので、その高校は途中までしか行けませんでしたが、当時は毎日長時間みっちり、デッサンの授業を受けていました」
————最近はコラボグッズやパッケージのイラストを描かれるなど、イラストをお仕事にされることもあるそうですね。実際やってみて、いかがでしたか?
「今までは好きなものを好きなときにしか描いてこなかったので、クライアントさんからのリクエストに応じて描くというのが難しくもあり、楽しくもありました。あとから見ると、『ここをもっとこうすればよかったな』など、反省点もありますが、実際に形になったときは本当に感動的でしたね」
————今後はモデル業やイラストのお仕事で、どんなことをしていきたいですか? 目標などがあれば、教えてください。
「モデルとしてのお仕事はもちろんですが、大好きな美容やイラスト関連のお仕事をもっとたくさんしていけたらと思っています。イラストに関しては最近、動物を描くのにハマっているので、近いうちにグッズ化などをして、その売り上げを犬猫の保護団体などに寄付したいと考え中です。絵を描くことを通じて、大好きな動物たちのためになれば、これ以上の幸せはないですね」
————FUN ART STUDIOのコンセプト『FUN ART』。宮田さんはまさにこれを体現されているように見えますが、ご自身ではどう思いますか?
「私にとっての『FUN ART』は上手い下手に関係なく、まずは手を動かして、好きなものを思いのままに描けばいいということかな。頭で考えているよりとても楽しいし、絵を描くだけで、何気ない毎日がパッっと明るくなるはず。身近にあるプリンタ用紙や画用紙に描くだけでOK。好きな色をバーっとのせるだけで、素敵なオリジナルアートになりますし、とにかく気持ちが前向きに、ウキウキとしてきますよ」
Profile
宮田聡子
1988年9月12日生まれ。福岡県出身。雑誌『with』専属モデル。また、数多くの女性誌で表紙を飾る人気モデルでもある。趣味は絵を描くことをはじめ、アクセサリー作り、ゲーム、アニメ鑑賞など。
Instagram「miyatasatoko」
撮影/黒澤俊宏
ヘアメイク/青山理恵(nude.)
スタイリング/蜂谷優子
取材・文/濱田恵理
衣装:トップス、ワンピース/共にmuller of yoshiokubo(https://mullerofyoshiokubo.jp)