手軽に筆文字タッチが再現できる『筆之助』シリーズ。今回はそのタッチを生かした、レトロでポップなコミック風イラスト・レタリングを紹介したいと思います。
●まずは『筆之助』シリーズをご紹介
『筆之助』は耐水・耐光性水性顔料インクを使用した筆文字サインペンで、細い線も書きやすい「しっかり仕立て」、太さのメリハリのつけやすい「しなやか仕立て」の2タイプのペン先があります。この適度な弾力は、私自身もそうですが、左利きの人でも筆のような描き味を存分に楽しむことができますよ。
そして『筆之助カラータイプ』は「しっかり仕立て」のペン先で全10色のラインナップです。
●筆之助の書き味をつかったコミック風タッチ
レトロなコミックを見てみると、作画の線は均一ではなく、太さにメリハリのついているものを多く見かけますよね。線の太さに強弱をつけたり、描き始めや描き終わりの線を細くする手法が、作画にやわらかさや躍動感を加える要素のひとつになっています。それらの線は、強弱がつけられる金属製のインクペン(漫画ペンなど)を使用して描くことが多いのですが、その風合いを強弱タッチの得意な『筆之助』で楽しんでみましょう。
●<基本>線を書いてみよう
まず、線の両端が細くなる線(下図:①)を書いてみましょう。描き始めは細く、だんだん筆圧を強く線を太くしながら、描き終わりに向かって少しずつ筆圧を弱め、再び線を細くして紙から筆先を離していきます。コツをつかむまでちょっと時間はかかりますが、出来るようになると線の表現が豊かになりますよ。
次は、描き始めはぐっと力を入れ、太めに線を書き始めて、だんだん細くしていく描き方(下図:②)。トゲの様な形状になります。躍動感のある線なので、漫画の効果線でよく使われる線です。
直線が描けるようになったら、曲線やジグザクにも挑戦してみましょう。
ペンの持ち方や角度によっても線のメリハリが変わってくるので、マーカー感覚でいろんな線の書き方を大胆に試してみてください。もし線がひどくぶれたり、思うような線が引けない場合は、ペンの持つ角度や線を引く向きを変えてみるとしっくりとした描き味がみつかるはず!
●基本線を組み合わせてイラストと文字を描いてみよう
先ほどの線の引き方を使って作例イラストを描いてみましょう。
慣れてきたら、力の入れ方など、アレンジをどんどん加えてみるとイラストにも色んな表情がでて楽しいですよ。
●「しなやか仕立て」と「しっかり仕立て」を使い分けてみよう
「しなやか仕立て」の方が、より太く、メリハリのある線を描くことができます。1本でも多彩な表現が可能ですが、より太さを強調したい部分を「しなやか仕立て」で描き、ディテールを「しっかり仕立て」といったように、2タイプを組み合わせることによってさらに表現を広げることができます。
●吹き出しと文字を書いてみよう
線の描き方が慣れてきたら、いよいよ実践へ。
今回はコミックには欠かせないセリフの吹き出しに挑戦! 手帳やノート、ちょっとしたメッセージカードのワンポイントとして使えそうですね。色々なデザインの吹き出しがありますが、まずはベースとなる枠を決めて、そこからもくもくやギザギザを加えていくとバランスがよくなります。シャープペンシルなどで下絵を描いて形が決まったら、筆之助でなぞってみましょう。
●吹き出しの中に文字を書いてみよう
強調したい文字には、筆づかいに大きなメリハリがつけられる『しなやか仕立て』がオススメ。色鮮やかな『筆之助カラータイプ』で書けば、メッセージカードもカラフルに華やぎますね。
●文字に演出を加えてみよう
タイトルや見出し、ロゴなどのようにひときわ文字を目立たせたいときがありますよね。 そんな時は文字にエフェクトを加えてみましょう。文字にふちどりを加えるだけでもぐっと印象が強くなりますよ。
■筆之助を使ったレタリングサンプル
■立体文字にしたり、文字にシャドウをつけてみよう
立体感がでてインパクトはぐっと強くなりますが、角度をそろえたり、ちょっと難しいですよね。
そこでトレーシングペーパー(トレペ)をつかった方法を紹介します。
■トレペを使った文字の影の書き方
■トレペを使った立体文字の書き方
■立体文字にパースをつけてみよう
●袋文字が難しいときは…
文字のアウトラインを描くのがちょっと苦手…なら、マーカーペンの太芯などで太めの文字を書いてから、筆之助で周りを線で囲めば色付きの袋文字ができますよ。
マーカーは、レタリングでもおなじみのグラフィックマーカー『ABT』や、蛍光ペンの『蛍COAT』などがオススメです。
もし、プレイカラードットでモノライン・レタリングが得意な人なら、丸ゴシックのような袋文字にも!
水性マーカーで描いた文字を筆之助でなぞってみよう
■ABTで書いた文字をふちどり!
■蛍COATで書いた文字をふちどり!
■プレイカラードットでも
●カラーリングしてみよう
筆之助のアウトラインに、水性マーカーで彩りを加えてみるのもよいですね。原色系でビビッドなカラーを選ぶとコミックのような雰囲気が出せますよ。原画は予めコピーなどを取っておいて、それに仮塗りをしながら色を決めておくと、スムーズな着色作業に。ABTの各色には色番号が振られているので、候補色のメモにも便利。筆之助の黒色は、深みのある黒なので、コピーの際も線がくっきり出やすいですよ。
●文字にエフェクトをつけてみよう
文字のテーマや雰囲気に合わせたカラーリングを施せば、ポップさがUP! グラフィックマーカーの『ABT』と全100色の色鉛筆『色辞典』使った着色サンプルをいくつか紹介します。
ブレンダーを備えた全108色の『ABT』と、ユニークな色構成の『色辞典』を使って、さまざまなアイディアで文字を演出してみてください!
■プレイカラードットで網目模様
ドット模様もコミックでよく見かける表現ですよね。余白のスペースに『プレイカラードット』のドットスタンプで再現してみるのも。
ドットは控えめなカラーを選んで、密集しすぎず、できるだけ均一に押していくとすっきりとしたドットパターンに見えますよ。記事の最後にドットスタンプ用のテンプレートも用意しているので、利用してみてくださいね。
●おりがみに描いてちょっとしたメッセージカードにも
おりがみは薄く丈夫で、発色も良いので、ポップでカラフルなメッセージ付箋にもなりますよ。使うおりがみは、表面があまりツルツルしていない標準的な(文具店などに置いてあるような「教育おりがみ」など)タイプのほうが、描いたインクの乾きも速く、サッと描きたいときにはオススメです。
●テンプレートを使って吹き出しメッセージふせんに挑戦!
(この記事の最後にテンプレートダウンロード用のリンクがあります)
テンプレートは【吹き出し】【文字】【イラスト】に分かれています。印刷は白色度の高いコピー用紙にした方が白黒のコントラストが強くなるため、透けて見やすいです。使用するおりがみは、無地でできるだけ薄めの紙のタイプを選ぶと、テンプレートを透かして見やすくなります。線の写し取りにちょっと自信が無い場合は、薄めのコピー用紙(白色)などで練習してみると、線も見やすくコツも掴みやすいですよ。
■テンプレートの使い方
※写し取るのが難しい…場合は
テンプレート(A4サイズ)をA3サイズ(約141%)に拡大コピーして、半分に切れば、大きめのテンプレートになります。文字も大きくなるので、しっかり太い線も得意な『しなやか仕立て』と組み合わせるのもオススメ!
●さいごに
「レトロコミック」と言っても、ジャンルや年代、作家さんによっていろいろな作風があるので、一括りにするのも難しいところですが、お気に入りの作家さんの作品を観察しながら、筆遣いや表現の工夫を真似したりして、オリジナルのタッチをみつけていくのも楽しみのひとつかもしれませんね!
●おまけ グラフィックマーカー『ABT』による配色サンプル
※3ケタの番号はABTの色番号です
●テンプレート
・吹き出しテンプレート(ダウンロード)
・文字テンプレート(ダウンロード)
・イラストテンプレート(ダウンロード)
・まんが枠・文字枠テンプレート(ダウンロード)
・ドット・効果線テンプレート
・線の描き方テンプレート(ダウンロード)