2020.11.24
立体イラストをつくってみよう(前編)
【ダンボールでつくる立体アート】
最近ではオンラインショッピングやテイクアウト、小包などで利用する機会が多くなったダンボール。今回はそのダンボールを利用してイラストを立体風に見立てる作品に挑戦してみようと思います。
●立体風イラストを作ってみよう!
今回、ダンボールを使って作成するのは、切り抜いたイラストをセッティングするための台座部分になります。等しい大きさにカットしたダンボールを工作用ののりで束ねて、そのすき間に切り抜いたイラストを挟んでいきます。イラストを前後に重ねていくことで、奥行きがあるような表現ができます。
↑ダンボールで作った台座にお花のイラストを差し込み花壇風に!
また、差し込む順番を変えたり、別のイラストに差し替えたりすることで、アレンジすることもできます。
それでは作っていきましょう!
●台座を作ってみよう
【用意するもの】ダンボール、カッター、シャープペンシル、のり(工作用が便利)
・ダンボールは使用済みのものを利用する場合、反りや汚れの少ないものを選んで使用してください。内側の緩衝材やしきりに使われていた部分などがオススメです。また、ダンボールは湿気を吸いやすいため、使用前に天日干しや風通しのよい場所にしばらく置いて湿気を取り除いておくと、カットやのりづけもしやすくなります。
また、ダンボールの種類によっては非常に硬いものや、滑りやすかったり柔らかすぎるものがあるので、カットやのり付けが難しい場合は無理に使わず、別のものを選んでください。
・カッター等の工具は、厚紙やダンボール対応のものを使用してください。ダンボールに予めシャープペンシルなどで目印をつけておくとカットしやすくなります。
台座のサイズはお好みですが、ここではタテ1.5センチ、ヨコ3センチに切ったものを複数枚用意します。厚さ3ミリほどのダンボールなら、6枚以上あれば台座が安定して自立します。中芯(ダンボール内側の波上になっているもの)が接地面に対して垂直になるように揃えると、形状がしっかりします。柔らかめのダンボールを使用する場合は、濃いめの芯を使うとカットする目印の線が引きやすいです。
シャープペンシルでつけた目印に合わせながらダンボールをカットしていきます。
次に切り離したダンボールをのりで束ねていきます。ここで使用したのは強力接着タイプの『ピットマルチ2』。シリコーンラバー製の「太塗り口」側を使って、台座の底側1センチあたりにのりを塗っていきます。柔らかいヘラのような感覚で均一にのりを広げることができます。
のりが乾かないうちに、塗ったらささっと次の1枚を重ねていきましょう!
同様に下側の1センチあたりにのりを塗って重ねていきます。
切り取ったダンボールすべて貼り合わせました。今回は10枚を貼り合わせています。完全に乾くまで時間をおきましょう!
差し込み面はこんな感じになります。端をぴったり揃えて貼ると見栄えも良くなります。続いて差し込むイラストを描いていきましょう。
●差し込むイラストを描く。
画用紙にイラストを描いて切り抜きます。イラストの下側には、台座に差し込むためのタブ状の余白を残して切り抜いて下さい。差し込むと隠れる部分なので、シャープペンなどで描いておくと切り抜くのが楽になりますよ。使用する画用紙は、中程度の厚さのものが切り抜いたり、台座に差し込みやすくオススメです。薄めのものはたわみやすいので注意。
■イラストの主線をくっきり見せるコツ
切り抜いたイラストの切り口部分が白く見えるのが気になる場合は、イラストを裏側にして、ABT の太芯側で縁をなぞると切り口部分を塗ることができます。塗る際は芯の先端ではなく側面をこすりつけるような感じでイラストの縁に沿わせます。
●イラストを台座に組み合わせてみよう
作った台座に切り抜いたイラストを差し込んでみましょう!
こんな感じになりました。それぞれのお花は平面の絵ですが、前後に差し込むことによってに立体感がでるようになりました。
そのままオブジェとして飾るのもよいですが、撮影にもひと工夫をして写真作品に挑戦してみるのも楽しいですよ。1枚目は台座を壁際に置いて撮影しましたが、今度は壁から少し離して、カメラをオブジェにぐっと近づけてマクロモードで撮影してみます。背景の壁のピントがぼやけ、フォーカスしたオブジェが浮き上がるように写りますね。
お花なら気分や季節に合わせて、フラワーアレンジメントのように、イラストの組み合わせを変えたりするのも楽しそうですね。
■お好みでいろいろなイラストをのせてみよう
好きなテーマでどんどん描いて組み合わせてみましょう!
■色々な形で台座をつくってみる
ダンボールには様々なタイプがあるので、形、素材選びでも表現力アップ!メッセージを挟めばメモスタンド風にも。
■フレーム型の台座にアレンジ
細いスペースをのり付けするときは、ピットマルチ2の細口側のノズルを使うと便利。フレームができたら、今度はフレームを飾る台座もダンボールでつくってみましょう。
●フレームのスタンドをつくる
スタンドも同様にダンボールをカットしたものを貼り合わせてつくります。まずはダンボールにカッティング用の目印を書きます。同じ形状のものをいくつも作るので、型紙をつくって外側をなぞれば効率アップ。
続いてのりづけ。固形のりのピット『ハイパワー』を使用してみました。すき間なくピッタリ貼り合わせることができます。コンパクトなSサイズなら、小さいのりづけ面の隅々までラクラクに塗れます。
●背景を描いてみよう
どんなイラストにも合わせやすいグラデーション背景を作ってみます。水性マーカーの『ABT』と『水筆』を使ったお手軽な作り方をご紹介します。
●フレームの背景をつくってみよう
画用紙をフレームの内側よりもちょっと大きめに切り、ダンボールにテープのりでのりづけ。画用紙の端にそってまっすぐつけると画用紙が乾いたときにめくれにくくなります。
画用紙をダンボールに貼り付ける。画用紙の浮き上がりが気になる場合は、軽く指で押しつけるようにするとよりしっかり固定できます。
画用紙がしっかり固定したのを確認したら、ABT(401)で色を付けていきます。明るめ(薄め)の色から暗い(濃い)の順に塗り、グラデーションを作っていきます。
色同士が隣接する部分は、塗り分けずに塗り重ねながら塗っていくと、色がオビにならずに滑らかなグラデーションになります。
グラデの中で一番濃い部分は、より多めに塗っておくと、水筆でなじませた際に、画用紙の白地も出にくく、色の濃さをキープできます。
均一なグラデーションにしたいときは平筆を使います。矢印のように明るめ(薄め)の色側から水筆で順に水を含ませなじませていきます(※私は左利きなので写真は右→左の筆運びとなっています)。塗りムラができないように、筆は途中で止めず、均一なスピードで動かし暗い(濃い)色側へと水筆を進めてきます。
1度でなじみ切らない場合は、明るい色側に戻り、同じ作業を繰り返します。濃い色が明るい色に混ざらないように、始める前に筆に残った濃い色を流し落としてください。
ある程度なじんできたら先ほどとは逆の筆の方向でなじませていきます。そうすることによって水筆の進行方向に偏ってしまったインクを均一にすることができます。筆を逆方向に動かすのが難しいときは、画用紙の上下を逆さにすればカンタンにできますよ。
■なぜ画用紙をダンボールに貼る?
画用紙は水分を多く含むと、たわんでしまったり波打ってしまうため、画用紙をダンボールに貼っておくとそれらを軽減することができます。下の写真の様にダンボールに固定したものは、水筆を使った際でも画用紙が歪みにくくなっていますね。
■明るい色を使って夕焼け風にも
ABTは全108色のラインナップを備えているので、様々なグラデーションに挑戦することができます!暖色を使い夕焼けのようなグラデーションも作ってみました。
グラデーションは、色同士が混ざり合うことによって、色を並べるだけではわからなかった思いがけない効果を生むことがあるので、ひらめきを大切にどんどん試してみましょう!
■単色でもグラーデーション
手持ちの色がまだ少なくても大丈夫! 単色でもグラデーションを作ることができます!
色は「528」のネイビーブルーを選んでみました。
グラデーションの濃い側は筆圧強く多めに塗り重ね、薄い側に進むにつれて筆圧を弱め、塗り重ねる回数を減らしていきます。
●フレームのイラストと背景を組み合わせる
できた背景板をフレームに組み合わせてみましょう!
背景やイラストを差し替えてアレンジ。
■前景と背景の組み合わせを変えてみよう
青空のグラデーションにビルと山の風景を組み合わせてみました。シルエットのイラストなら、背景を変えるだけで雰囲気が大きく変わりますね!
●イラストをテーマに合わせてステップアップ!
イラストの数を増やして風景を再現してみるのも。ABTではテーマに合わせた配色の多色セットもあるので、初めてABTでイラスト描きに挑戦してみたい方にも最適です。
●後編へ!
後編では、イラストの要素を増やしながら、撮影方法などに重点をおいて、立体作品を別の角度から楽しむ方法をご紹介したいと思います!