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【FUN ART LOVERS】Vol.28中村佑介
絵を描くことは、僕が社会にいる理由につながる。
絵はパスポートなんです。

ストーリーを感じる繊細な女性像。独自の色彩と細やかなタッチで、私たちのすぐそばにいるような女性を描くイラストレーター・中村佑介さん。ASIAN KUNG-FU GENERATIONをはじめとするCDジャケットや、『謎解きはディナーのあとで』『夜は短し歩けよ乙女』といった書籍の装画を手がけるなど、多彩な作品を生み出してきた中村さんに、創作の原点や制作のこだわり、創作を支える信念についてお伺いしました。
 

文芸誌『きらら』2011年1月号(小学館)

 

浅田飴糖衣R(赤玉林檎)<Limited Edition 2025>


 
 
子どもの頃から「絵を職業にすること」は現実的な選択肢だった
 
―幼少期から漫画や絵を描いていたそうですが、どのような少年時代でしたか?
 
小学生の頃はビックリマンシールが流行っていて、僕も当時は夢中で集めていました。でも子供なので、たくさん買えるわけじゃないし、お小遣いも足りない。しかも当時、お店では1人につき3個までしか買えなかったんです。それなら、もう自分で作るしかないなと思って作ったりしていました。コロコロコミックに載っているデザインと同じだとつまらないと思って、自分なりに違うものを作って集めた気になっていましたね。
 
あとは、牛乳キャップ(牛乳瓶の蓋)!給食のたびに捨てるのがもったいなくて、キャップの裏にウルトラマンやガンダムの絵を描いて、友達に見せることもありましたね。
 

 
― 当時から、絵を描くことが身近だったんですね。ご両親も創作の世界にいるので、描くことへの理解が深い環境で育ったのでしょうか。
 
母は子ども服のファッションデザイナーで父が建築家でした。ただ、僕が興味のあるマンガのようなサブカルチャーとはジャンルが違うので、両親から直接絵を描く方法を学んだということはありませんでした。でも2人とも自分たちの生き方から、「才能がないと絵を仕事にできない」とは考えず、「うまくなればできる」という価値観を持っていたので、僕も絵=職業を現実的に考えられることができていました。
 
世間ではよく「芸術なんて、将来大丈夫?」と心配されますが、ほとんどはその世界を知らないから、出てきてしまう言葉なんじゃないかと思います。多くの親は、世の中にデザイナーが何人いるかなんて知らないんですよね。デザインとかイラストで食べていくのは、医学部に入って医者になるより多分確率高いですよ。「大学へ行きたい」「お医者さんになりたい」だと応援するのに、芸術系だと心配されるというのは、それだけ実態が知られてないということ。でも、身近な存在である親に言われてしまうと、子どもも「アートで生きていくのは難しいんだ」って思い込んでしまう。そういう話を聞くと、もったいないなと思いますね。
 
― そうした環境のおかげもあって、自然と「絵を職業にしよう」と考えるようになったのでしょうか。
 
中学を卒業したら働きたいと思っていました。学校で絵を褒められても、「どうせ子どもだから褒めてるんでしょ」って冷めて捉えていたんです。子ども割引というか、子どもの頑張りに対して褒めてもらえているというのを、幼いながらに感じていたんです。両親は技術でお給料をもらっているのに、僕はどれだけ褒められても1円にもならない。それがもどかしくて、僕も早くそうなりたいと思っていました。それで中学卒業のとき、母に「漫画家のアシスタントになりたい」と言ったんです。
 
母からは「高校くらいは出ておいた方がいいよ」と言われ、そうかと思い高校へ進学。その後も「大学くらいは出た方がいいよ」って言われて(笑) 高校卒業当時は、大阪にカプコン、京都に任天堂、そして当時は神戸にコナミと、地元である関西にゲーム会社の本社があったので、そこで「キャラクターデザインの仕事ができればいいなぁ」と漠然と考えていました。なので、コンピュータグラフィックスを学ぶためにも、大学へ進学することにしたんです。
 

 
本質をとらえて伝えることが、人間を描くこと
 
― イラストレーターへと方向性が決まったのは大学在学中のことですか?
 
大学3年生のときですね。当時流行った「ときめきメモリアル」を中心とした美少女恋愛シュミレーションゲームがきっかけでした。それまでのゲームといえば「ストリートファイターⅡ」のように男性向けのイメージがあったので、僕も男性を描かないといけないと思ってたんです。でも時代が変化して、男女で分かれていたコンテンツが重なり始めたんですよね。それで女の子の絵を練習し始めました。でも、本気でキャラクター創作に向き合っていると、一般的な”美少女キャラクター”というものに違和感を感じてしまいました。たとえば、「優等生の生徒会長」という設定なのに、すごくスカートが短かったり、校則に違反してる大きなリボンをつけていたり。そういう違和感を払拭すべく「僕が考える『女性キャラクター』像」を描いていきました。
 
最初は同級生からは「地味」と言われましたけど、彼らが実際に付き合っている彼女は、美少女キャラみたいな容姿じゃない。現実だと僕が描いているような女の子に地味なんて思わないのに、絵の世界に持っていくと地味になる。これは、僕の描く絵の中身が抜け落ちているから地味に見えているんじゃないかと思うようになりました。それで、そのキャラクターのパーソナリティや背景を描き出しました。1コマ漫画みたいな。
 
 

オリジナル作品『路地』 (1998年制作)


 
 
― 女性を描き続けているのは、どのような理由からなのでしょうか。
 
女の子を描くと決めているというよりは、現実の人間を超える見込みが、僕の絵に全くないことが大きな理由です。竹久夢二さんの展覧会を見に行ったのですが、人の気配を背後に感じて振り向いたら、竹久さんの描いた女性の掛け軸だったということがあったんです。一瞬人がいるかと錯覚してしまい、絵の上手い下手ではなく、生命が紙のなかに閉じ込められているように感じたんです。これはとんでもないなと。僕が「人間」を画角に閉じ込められているのかなというと、そうではない気がする。だからずっと女性を描いています。
 
描いているキャラクターは現実的な「人間」。だから僕はキャラクターに媚びさせたくない。できるだけ無理に笑わせないし、変なポーズも取らせない。仕事じゃなければ知らない人や好きでもない人の前で笑う必要はないでしょう。男性がそうであるように。その人が自発的に着そうなパーソナリティでなければ変に露出のある服装もさせる必要はない。僕の子どもですからね。もし、そういうことを求められたら仕事を断るぐらいキャラクターも自分を大事にしてほしいと思っています。
 

 
― イラストレーターの仕事をするうえで大切にしていることはありますか?
 
自分が年齢を重ねるにつれて、後進の人たちのことや、社会的に何を描くべきかを考えるようになりました。仕事なので、時には賛同しにくいテーマの仕事を受けることもあります。本などは、後からゲラ(校正刷り)が上がってくることもあるので、内容を詳細まで知らずに受けてしまうこともありますしね。
 
そういうときは、絵で緩和できるようにと思っています。イラストとしては、あまり見る人に疎外感を与えないまま、どこか心に引っかかるような絵を描きたいなと思っています。そのために、ストーリーや色使いをはじめ、構図、モチーフなどで工夫していきます。もっとおしゃれなイラストとか大人っぽい雰囲気にもできますが、絵を見る際に障壁になってはいけない。人を通して投影される本質というのを、大切に描いていきたいと思っています。
 
 
― 絵の女性を現実の人間として捉えているからこそ、中身や本質を大切にされているんですね。
 
大学時代、女性のイラストに背景をつけて描き始めてから展覧会をしたんですが、当時僕の絵を「地味」と言っていた人たちからも好評だったんですよね。キャラクターデザインは何も変えていない。ただ背景をつけただけ。ちょっと変えるだけで印象が変わるのだなと学びました。自分が努力して工夫した結果だから達成感はありましたが、同時にがっかりもしましたね。絵の本質ってぼんやりとしか見えていないのかなと。
 
似た話にもなりますが、本の表紙を描きたいと思って、実際に本屋さんへリサーチに行ったことがありました。平積みにされている本の表紙絵と自分の絵を比べると、技術は同等だけど僕の絵には色がないと気づきました。遠くに置いた瞬間に、見えなくなってしまうんです。イラストレーターっていうのは、八百屋と同じで、本を手に取ってもらうために呼び込むのが仕事。色彩の視認性の効果は距離があるときに発揮されると分かり、色の勉強を始めました。そうすると、すぐ仕事が来るようになりました。このときも、「こんな些細なことなんだ」と思ったんですよね。才能とかじゃないのだな、と。
 
 

「高校生の音楽1(令和4年~)」(教育芸術社)


 
人間は「生」に魅せられる
 
― 創作での喜びはどういうときに感じますか?
 
絵は、僕が社会とつながるためのパスポートみたいなもの。だから、プライベートで何かを描くことはほぼありません。でもそれは、仕事にエネルギーをフルで注ぐためでもあります。イラストレーターの仕事って、クライアントが表現したい何かを3週間ぐらいかけて代わりに描くわけです。ものすごいエネルギーを使います。内側から沸き上がってくるアイディアを表現するというよりは、届ける相手をよく知って、最適なものを選択していく。相手を知れば知るほど、何をプレゼントしたいかが決まるので、クライアントに質問したり、本なら内容を良く読み、CDジャケットなら曲を聴いて相手の情報を集めて、10個くらい浮かんだ選択肢を削っては、絞っていくという作業になります。
 
それらは自分が生み出したものではないので身体に乗り移らせる作業はイタコさんのように本当にエネルギーを使います。それに、僕に依頼があるときは、今までと客層を変えたいというケースが多いので、今までその商品を手に取らなかった人に見てもらうきっかけになれた時は嬉しいですね。
 
 

 
 

ASIAN KUNG-FU GENERATION『ライフ イズ ビューティフル』ジャケット2025©K i/oon Music


 
 
― 常にフルパワーで100点を目指しているんですね。
 
自分の出した問いに、自分で答えるという作業の連続なので、時間をかけると100点は取れます。それが稀に120点を出せるときがあるんです。疲れはしますが、それがモチベーションに繋がりますね。時間がないときにふと出た線が、偶然の産物になるような。
たぶん僕は自分をコントロールしすぎて描く絵が脳内のプリンターみたいになっちゃっているんでしょうね。そのプリンターがたまにエラーを起こして、稀にいい味になるんです。特にそれは絵の具なんかのアナログ時代は多かったですね。今はペン入れまでは手書きで色付けはデジタルなのですが、デジタルだといくらでも修正ができますから。
 
 
― FUN ARTLOVERSの読者には、手描きの表現者もたくさんいらっしゃいます。手描きならではの魅力を教えてください。
 
今は、AIを使うと数秒で上手だったり美しいイラストが生まれてくるじゃないですか。でも、やっぱり人って人のことしか応援できない。生きている人間のことが、人間は好きなんです。ロボットには愛情は持てても、プログラム自体を好きにはなりにくい。だから生きているという証明さえできたら、これからも創作はAIに負けることはないんじゃないかなと考えています。
 
先日SNSを見たら、手書きのクリエイターがまた増えていっているように感じました。デジタルでは難しいですが、アナログの画材や手書きは、人間が書いているっていう証明の必要がないじゃないですか。最終的に、やっぱりそこに帰結していくんじゃないかなと思う。アナログの画材を売っている企業さんが、そのときまで生産を止めないことを願います(笑)
 


 
心地よい人間関係のための創作をしたい
 
 
― これからチャレンジしたいことはありますか?
 
今、気持ちよく仕事をご一緒しているクライアントさんと、負担にならないように継続してお仕事ができればと思っています。僕は主従関係を仕事に持ち込まれるのが好きではなくて、対等な関係で仕事がしたいと考えています。仕事でも、もっと本気で楽しもうよ!と思っているのですが、組織だとなかなか付き合ってもらえない。ユーザーさん的にも、楽しそうなほうが距離を近く感じられて楽しいと思うのに。でも、僕が付き合う中には、そこにいる人全員が、誰かの仕事・案件ではなく「自分ごと」として仕事をしているクライアントの担当者さんもいます。それって本当に気持ちが良いんですよ。僕がずっと求めていたことなので、今はとても楽しいです。社会は新陳代謝が行われるのが定めですが、そのなかでこういうお仕事を継続したいですね。
 
 
― FUN ART をしている方々に、メッセージを!
 
創作を通じて、友達が増えるといいなということ。創作ってなんだかんだ孤独なんですよ。どこまでも閉じこもる作業。だから若いときは表現=崇高という特別意識を持ちがちですけど、それはお墓に持っていけないじゃないですか。それよりも、絵を描いたことで出会えた人を大切にしてほしいなと思います。創作は社会につながるためのもの。講演会などで「この人の絵は人に届いているな」と感じるのは、入室時に挨拶をしっかりする人の絵なんですよね。会話と一緒で、こうしたら人はこう感じるだろうなということが分かっているということだと思います。
 


 
愛犬の散歩をするときに、よく公園で楽しそうにゲートボールをしている高齢の方々に遭遇するんですけど、その周りで誘ってほしそうに不機嫌にしている人にも出会う。そういう人を見ると、主従関係や特別・凡人というような上下関係を重んじるような孤高の表現者であるよりも、対等でフラットな関係性のお付き合いを大切にしたいなと思う。いつか年を重ねていった先には、ゲートボールに誘ってもらえる人でありたいと思っています。
 

 

 


Profile
中村佑介
1978年兵庫県宝塚市生まれ。イラストレーター。大阪芸術大学デザイン学科卒業。ASIAN KUNG-FU GENERATION、さだまさしのCDジャケットや、『謎解きはディナーのあとで』、『夜は短し歩けよ乙女』、音楽の教科書など多くの書籍カバーを手掛けている。 2009年には画集『Blue』を編集し、全国で展覧会を開催。近年では『浅田飴』のキャラクターデザインやアパレル会社グラニフとのコラボレーションなども行う。バンド「セイルズ」ではギターとボーカルを担当。テレビやラジオ出演、講演会、執筆活動など表現は多岐にわたる。
 
公式サイト:http://www.yusukenakamura.net/
公式X:https://x.com/kazekissa
 


 
取材・文/後藤 久美子
撮影/橋本 優馬
 

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