こんにちは、イラストレーターのMasaki Nakamuraです。
ずいぶんと寒くなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか?僕は猫ちゃんと幸せに暮らしています。うちの猫は人に懐かないタイプなのですが、寒くなると布団の上に乗ってきたりするんです。いやー可愛いのなんのって。FunArtのInstagramにもチラっと登場させてしまう親バカぶり。
と、そんな話は一旦置いておいて、今回は「デジタルツール」についてです。パートナーアーティストの中でも僕は比較的デジタルツールを利用すること事が多いと思いますので、僕が普段どういったところで活用しているのか、デジタルツールのメリットとは何なのかをご紹介できればと思います。
※今回はHow Toというより「どのような事が可能なのか」という活用方の紹介が中心です。
作品の下書きや色彩設計に使う
作品を描くにも下書きは必要ですよね。最終的にアナログで制作する場合も、僕は最初にデシタルで下書きや色彩設計を行うことが多いです。効率が良いというのが最大の理由です。
例えば最終的にABTで仕上げるとしても、僕はPhotoshopで下書きをします。色はもちろん、文字と絵の大きさやバランスなどは全てデジタル上で決めてしまう事が多いです。
例えばPhotoshopであれば【色調補正】や【レイヤースタイルのカラーオーバーレイ】という機能で簡単に色を変える事が可能で、手描きで試すより圧倒的に効率が良いんです。こうして色々と検討を重ねて、最終的にそれを下絵にしてアナログで清書するというのが基本の流れになります。
このように最後はアナログ作品となるわけですが、僕の絵はシンプルなので色などが決まっていればそれほど時間がかかりません。ですので実はデジタルでの準備時間の方が長かったりすることは多々あります。
アナログの質感を加える
さて、今度は逆に「デジタルで絵を描きたい!」という場合の話です。デジタルのみでアナログの質感を出すのは結構技術が必要だったりするのですが、今回は簡単にアナログの質感を加える方法をご紹介します。
例えば以下のようなイラストをデジタルツールで描いたとします。
これでも十分可愛いですが、ベタ塗りでいかにも「デジタルで描きました」という印象がありますよね。デジタルイラストを始めたばかりの頃に、よくありがちなことです。もう少しアナログの質感を出すにはどうしたら良いでしょうか?答えは簡単、アナログの質感を足せばいいのです!(そのままですね)
例えばABTであれば、画像のように紙に塗りつぶしたものを準備しましょう。それをスキャナで取り込み(最近はスマホカメラでも大丈夫)データ化。それをそのままデジタルイラストに重ねるわけです。
例えばPhotoshopであれば、絵の上にスキャンしたデータを重ねて、レイヤーの描画モードを【焼き込みカラー(透明度50%ぐらい)】にすれば、以下のように簡単にアナログの質感を加えることができます。
いかがですか?これだけで結構印象が変わりますよね。これはABTに限らず、アクリル絵具や水彩絵具でも同様です。手持ちの画材でぜひ試してみてください!
レタリングと写真のコラージュ
次は僕も好んで作成する「ハンドレタリングと写真のコラージュ」です。これもデジタルツールがあってこその作品ですね。先ほどと同様に紙に手描きで作成したハンドレタリングをスキャン。文字部分だけを切り取り、写真に重ねるという仕組みです。
スキャンしたデータの文字部分だけを抜き出せば、自由に色を変える事ができます。例えば暗いの写真に白い文字を重ねるなんてことも可能になります。
※文字部分だけを抜き出す方法についても書くと長くなってしまうのでここでは割愛します。「線画抽出 Photoshop」等で検索すると詳しい解説がたくさん出てくるのでぜひやってみてください!
あとは写真の上に重ねるだけ!Photoshopであればレイヤースタイルの【カラーオーバーレイ】で色を変更すれば、好みの色に変更できますよ!
色を白に変更して重ねました。うーん!ロマンティック!
イラストレーターを目指すなら必修科目?
最後はお仕事の面での利点について。僕も一応商業イラストレーターとして活動しておりますが、イラストの納品は“ほぼ100%デジタルデータ”です。主にPhotoshopで最終的な納品データを作成し、それを画像データ(jpg等)に変換して納品したり、PSDデータ(Photoshopのデータ形式)のまま納品します。
これは先方もデジタルで広告や誌面を作成・納品するので当然の流れとも言えます。例えば僕が全くデジタルツールを使えない場合、原画を先方に送って「原画送るのでスキャン・切り抜きして使ってください!」と言わなければならなくなります。これは先方にとってかなりの負荷となるわけです。例えるならば、仕事場に遊び盛りの子どもたちを乱入させるようなものです。(例えが正しいかはわかりません)
また納品だけではなく、プロジェクト進行中のデータ修正も度々発生するのがお仕事の常です。もし「やはり服の色を黄から青に変えたい」となった場合、フルアナログでは一から描き直しという事態になりかねません。
そういったことを想定して僕はいつも「線」と「塗り」を分けて作成し、データ化して管理しています。そうしておくことで、後から部分的に修正することが安易になるからです。以下のように、アナログで描くとしても線と塗りを別々の紙に描き、Photoshop上で重ねています。
このような理由で、商業イラストレーターとして活動するのであればデジタルツールは必修科目といっても過言ではありません。もしあなたがイラストレーターを目指しているのであれば、今回紹介した簡単な加工からでもいいのでデジタルツールと仲良くなっておくことをオススメいたします!
というわけで、今回は僕がどうデジタルツールを活用しているかのお話でした。具体的な手順などは今回はお話しませんでしたが、それはまたの機会に!少しでも参考になれば幸いです。
それではまた次回。素敵な冬をお過ごしください!