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【FUN ART LOVERS】 Vol.10 江口寿史
手描きの魅力は、肉体的な心地よさ。
緊張感や偶然性も醍醐味です。

70年代末に週刊少年ジャンプで『すすめ!! パイレーツ』で連載デビューして以来、数々のヒット作を飛ばし、最近では永遠不滅な可愛い女の子のイラストで人気を博している江口寿史さん。普段の作業や手描きの良さ、今後の活動などをたっぷり伺いました。40年という長い年月、漫画やイラストを描き続けてきた江口さんだからこそ紡ぎ出せる読者の皆さんへのメッセージも必読です!

 

————江口さんは子どもの頃から、漫画家を目指していたのでしょうか? 実際、どのような経緯で漫画家になられたのか教えてください。

 

幼稚園時代に手塚治虫先生の『鉄腕アトム』にハマって以来、漫画が大好きで、小学生の時には漫画家になりたいと思っていましたね。5年生くらいからノートにコマ割って漫画を描いてました。それは中学時代まで続きましたが、高校時代は吉田拓郎さんにハマり、ギターに夢中になって、漫画は一切描かなくなってしまいましたね(笑)。もちろん読んではいましたが。少年マガジンの読者でした。ちばてつや先生の『あしたのジョー』と永井豪先生の諸作品が好きで。
高校を卒業して浪人後、デザインの専門学校に入ったんですが、在学中に漫画家デビューをするための猶予期間という意識しかありませんでした。結局、学校は3カ月しかまともに行かなくて(笑)。漫画を描くための勉強という名目で、名画座で映画ばかり観てましたね。『週刊少年ジャンプ』で1作目の作品が月例の新人賞に入選、2作目が赤塚賞に準入選して、そのまま連載デビューが決まったのでさっさと退学して(笑)。連載デビュー作は『すすめ!! パイレーツ』というギャグ漫画で、その時の僕の年齢は21歳。そこからはもう毎週締め切り、締め切りの目まぐるしい日々が続きました。

 

————現在は漫画ではなく、イラストに移行されていますが、どんな画材を使って描いていますか? また、手描きとデジタルはどんな風に使い分けをされていますか?

 

フルアナログで描いていると思われがちですが、実はそうではなくて、アナログなのは下描きからペン入れまでです。人物が手にしている小物などの細かい部分を描いたり、彩色をするのは、スキャンをしてパソコン上で。下描きはシャーペン、本描きは最近は筆ペンを使います。でもまあ、、画材は僕に合うから誰にでも合うってわけじゃなくて、人それぞれだと思いますね。紙はほぼコピー用紙を使っています。アナログだとそれなりに自分に合う画材を選ぶ必要がありますが、デジタルはいい意味で適当で自由なんですよ。
 

吉祥寺にあるご自身のアトリエで作業する江口さん。好きな音楽をBGMにかけるのがお約束だそう。

 

————デジタルもお使いになるとのことですが、手描きはやっぱり楽しいとおっしゃる江口さん。手描きはどんなところが魅力ですか?

 

手描きの魅力は、肉体的な心地よさ。描いているときの紙に引っかかるような感じがたまりませんね。iPadも試そうとしていますが、描く時の感触に慣れなくて、なかなかハマれません。手描き特有の、紙に画材が当たる感じが好きなんですよ。それに、パソコンだといくらでも過去に戻れて直せますが、紙はそうはいかない。失敗したら、また一から書き直しをしなくてはいけないので、なんとも言えない緊張感の中、一球入魂という感じで描きます。まさに一発勝負!でも、そんな状況の中で、「あれ、これいいかもしれない」という偶然の発見や予想外のことが起きる楽しさがあるのも、手描きの醍醐味ですかね。

 

 

「自分がやる意味はあるかどうか」。

やる意味があると思ったら、突き進みます!

 

————数多くの作品を手がけていると思いますが、普段、どんな風なスケジュールでイラストを描いているのでしょうか?

 

作品は夜に描くことが多いですね。最近、年齢的に徹夜ができないので、昼に描くように努力はしてますが、長年の習慣はなかなか直らない(笑)。タイムスケジュールは大体、毎日一緒です。午前10時くらいに起きて昼くらいから仕事を開始。打ち合わせなどをして、その後、作業に入ります。夜中の3、4時くらいまでは作業をしているかな。他人からは「それって徹夜じゃない?」と言われますが、徹夜じゃないんです。夜中ではあっても、ちゃんと寝ているので(笑)。

 

昔、4日間で漫画を45ページ描いた時は、たったの30分しか寝なかったこともありました。2日間徹夜して30分寝て、残り2日間また徹夜して。当時はスタッフも他の漫画家さんも同じような生活していましたから、それが当たり前だと思っていました。こんな風に締め切りに追われている最中は、食べることと仮眠をとること、この2つだけが楽しみでしたね(笑)。そして、全て描き終わったら、飲みに行く。これがお約束のコースでした。

 

「ボツにしたイラストの下描きがたんまりありますよ」と笑って見せてくれた江口さん。ファンにとっては、お宝の数々です。

 

————時代を問わず、常に沢山のオファーが来ると思いますが、仕事をセレクトする基準やポリシーはありますか?

 

仕事をお受けするかどうかの判断は、「自分がやる意味があるかどうか」。自分がやる意味はないなと思ったときは、きっぱり断りますし、やる意味があると思ったときはスケジュール的にキツくても受けますね。

その仕事を受けることで、「僕にも相手側にもお互いに良いことがあるかどうか」ということですね。ちなみにこれは、長年の経験や勘でわかります。

 

————リアルなコーディネートやポーズなどを見るために、街で女の子ウォッチングをするとお聞きしましたが、普段どんな感じでされているのでしょうか? ノートにスケッチやメモをしたりしますか?

 

街を歩いている時に、行き交う女の子たちのファッションのトレンドやコーディネートは見ますね。「こういう着方をするんだ」と思わぬ発見があったりして。ファッション誌も見ますけど、街ゆく女の子はリアル感があって良いんですよね。「写真を撮らせてください」と頼めれば良いのですが、このご時世では難しいので、ひたすら頭に記憶して。描く時にこの記憶のストックから引っ張り出してきます。僕は時代遅れやダサいのが嫌なので、ファッションだけでなく、女の子の最近の話し方やイントネーションなんかも常にリアルを追求すべく、結構チェックしていますね。

手の動きなど、動作のポーズに関しては、資料の写真がなければ自分でもやりますし、友達や家族にお願いすることも。立ってる者は親でも使え、じゃないけど、身近にいる人は使えるだけ使います(笑)。動きがわかればいいだけなので、女性に限らず、男性でもOKなんです。

 

 

今は誰もがアートを公平に楽しめる時代。

だから、皆さんもどんどん描いて発信するといい。

 

————江口さんの作品は若者にも大人気ですが、そのことはどう思いますか?

ファッションなどは時代を繰り返しますよね。最近も80年代のファッションがリバイバルしていて、ありがたいことに僕のイラストを新鮮と言ってくれる若者たちも多いです。僕が80年代に制作していたパントーンを使った作品たちは、特に注目してもらっているみたい。パントーン作品は、手で触ると凸凹しているのが特徴。手間はかかりますが、やっぱり手作業ならではの味があります。

ちなみに若いイラストレーターたちとお酒を飲むこともあります。だからと言って、若者世代の全員とわかり合えるかというとそうではなくて。自分の感覚と合えば、若い人でもすぐに打ち解けられるという感じ。年齢ではなく、感覚の相性がポイントということですね。

 

————ご自身では過去の作品をどんな思いで見ていますか?

 

90年頃は80年代の自分のイラストが見たくなくて、2000年代になると90年代のイラストが見たくなくて……。過去の作品=時代遅れ、ダサいという思いがあったんですね。でも、最近は過去のイラストも嫌いじゃないです。「今のイラストも好きだけど、過去のイラストもいいじゃん」と思える境地になりました。40年もやっていると、全て並列になっちゃうのかな。

 

アトリエの本棚にはご自身の漫画はもちろん、国内外のお気に入りの漫画や洋書などがびっしり陳列されています。「時々、断捨離はしますが、今あるものは基本的に大好きなもの。だから、今後も絶対に処分はできませんね」(江口さん)


 

 
アトリエには過去の作品の原画がたくさん。今回はその中からいくつか見せていただきました。
まずは、空の突き抜ける青さがインパクト大なパントーン作品。
 
「80年代は、“夏”をイメージさせる作品をよく制作していましたね。水着のデザインなんかも、懐かしいですよね(笑)」(江口さん)

 

 
こちらのイラストも80年代の男女がモデル。ファッションやヘアスタイル、メイク、背景、車……どれをとっても随所に当時の雰囲気が漂います。
 
「タイムリーな方には懐かしいし、当時を知らない若者には新鮮に映るみたい!」(江口さん)

 

 
体操服姿の女子高生が銃を持っているというギャップも、江口さんらしい! 
こちらを見つめる真っ直ぐで強い瞳が印象的です。

 
————「江口さんの新作漫画が読みたい!」というラブコールが多いと思いますが、漫画を再び描くご予定はありますか?

 

実は再び、漫画を描こうと思っています。最近は僕が漫画家、もっと言えば、ギャグ漫画家だったことを知らない人も多いんじゃないかな? 漫画は時間も体力も使うので、70歳までには描きたいところ。そう考えると、僕には残された時間があまりないので、早く描かないと(笑)。

 

 

————ABT、筆之助の使い心地はいかがでしたか?

 

今年の1月にフランス・パリでサイン会を行ったんですが、その時に現地でABTを見つけて購入したんです。濃いグレー、薄いグレーと、グレー系を何色か買って。薄いグレーは陰影をつけるのにすごく良かったんですよね。

 

アングレームで5回。ポアティエで1回。パリで2回。計8回のサイン会をフランスで実施しました。


 

本屋さんの中でひとりひとりていねいにサイン。


 

パリで買ったABTのグレーで陰影をつけました。


 

撮影中に女の子のイラストを描き上げてくださった江口さん。髪の毛はABTの薄いグレーを塗り、濃いグレーを重ねていき、奥行きを生み出しています。

 

「FUN ART STUDIO」の文字と日付、サインを入れた完成品はこちら。仕上げには色鉛筆「色辞典」も使ってくださいました。「僕、色鉛筆はほぼ使ったことがないのですが、仕上げに使うといいですね。子どもの頃はよく使っていたので、昔を思い出してこれからどんどん使おうかな」(江口さん)。

 

————今回ご登場いただく本サイト「FUN ART STUDIO」のコンセプトは、「アートをもっと楽しく、身近なものにする」です。江口さんから、読者さんにメッセージを是非、お願いいたします。

 

絵を描くことって、一番手軽にできるアート。紙と筆記具があれば、すぐにできますから。それに最近はSNSの発達で、絵を描いてそれを発信している人が増えましたよね。昔は飯を食えていないと、「絵を描いています」とは言えなかったですが、今は気軽に「絵を描いています」と言える時代ですよね。

 

僕が漫画を描かずにイラストを描いていることも、SNS世代の人たちは違和感なく、受け入れてくれていると感じます。バッグボーンを見ないで、今の僕のイラストを見てくれているというか。実は漫画からイラストに軸を移した時、「江口は漫画を描かないでイラストに逃げている」とか、ファンはもとよりいろんな人から怒られていましたから。今はありがたい時代です(笑)。

 

若い人は特にですが、今は誰にでも自分の作品を発信できる場がありますよね。画材の種類も豊富で、気軽に購入できますし。キャリアや知名度のある無しや上手い下手は関係なく、誰もが好きなように描いて、自由にSNSなどで発信できるわけですから、公平な時代になったなと思います。昔なら、人に見てもらいたい場合は出版社に持ち込んだり、路上で見せるしかなかったですからね。

 

ご飯を食べていかなければいけないなら別の問題ですが、趣味として楽しむためなら、どんどん自由に好きなように絵を描けばいいんじゃないですかね。
今回あらためて思いましたが、手描きは楽しいですね。デジタルネイティブ世代の人たちもたまにはアナログで描いてみたらどうですかね?思わぬ発見などにも出会えるかもしれませんよ。

 

 


Profile

江口寿史

1956年3月、熊本県生まれ。1977年2月、週刊少年ジャンプにて『恐るべき子供たち』でデビュー。同年9月、週刊少年ジャンプにて『すすめ!!パイレーツ』連載スタート。ギャグ漫画家として、その後も『ひのまる劇場』『ストップ!! ひばりくん!』『エイジ』などの作品を多数発表。1983年よりフリーになり、イラストレーターとしての活動を開始。雑誌や広告、小説本の装丁、CDジャケット、アニメ映画のキャラクターデザインなど、幅広く手掛ける。1992年には短編集『爆発ディナーショー』で、第38回文藝春秋漫画賞受賞。今年4月に発売された初のジャケットアートワーク集『RECORD』も話題に。

Instagram「egutihisasieguchiworks

 


撮影/黒澤俊宏
取材・文/濱田恵理

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