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ABT水彩で描く夏

アーティスト・プロフィール

カラシソエル

こんにちは。
イラストレーターのカラシソエルです。
今回は夏をテーマにABTでイラストを描いてみようと思います。
夏のモチーフはいろいろあって迷いましたが、猛暑を乗り切る元気をくれる「夏野菜」に決定しました!
そして、せっかく夏らしい絵を描くので最終的に残暑見舞いのポストカードにしてみます。

 


 

●使う道具
 


 

1. 絵の具用パレット
白くて色が見えやすく、ABTのインクの乗りが良いのでおすすめです。
クリアファイルでも代用できます。
 

2. キッチンペーパー
筆を拭くとき吸水量が多いので使いやすいです。ティッシュでも代用できます。
 

3. 画用紙
水に強い水彩紙がおすすめ。
今回はクレールフォンテーヌのフォンテーヌ(中目)を使います。
 

4. ABT 885 / 985 / 245 / 177 / 679

 

5. 水筆 TOMBOW WATER BRUSH 中筆

 

6. 鉛筆 MONO100 2B

 

7. 筆之助 しっかり仕立て 黒

 

8. MONO消しゴム

 

9. 水
 
 


 

● 鉛筆で下絵を描く
 


普段はあまり下絵を描かないのですが、今回はポストカードに仕上げるので、文字との位置関係を把握するために下絵を描いてバランスを確認します。
2Bの柔らかめの鉛筆で下絵を描き、筆之助でペン入れします。
 
 


下絵が完成しました!
このあたりにこの野菜を描こうかな…くらいでおおかまに鉛筆で描きます。
かぼちゃなどの形が複雑なものは少し描き込んでおくとペン入れするときに楽です。
 
 

● 筆之助でペン入れ
 
鉛筆の線をなぞるように筆之助で清書します。
 

手前のカゴからペン入れしていきます。
筆之助はペン先が筆状になっているので網目模様などの強弱をつけた表現もしやすいです。
※しかも乾くと耐水性のある顔料インクなので水彩にもぴったりです!
 
 


先ほどと同様に手前にある野菜から描き込んでいきます。
手前から描くと前後関係の重なりを間違えにくいのでおすすめです。
 
 


ペン入れができました。
 
 


鉛筆の下絵を消します。
紙を押さえて一方向にこすると紙を傷めにくいです。
力を入れて前後にゴシゴシすると紙がぐしゃっとなるので注意しましょう。
 
 


線画が完成しました!
 
 
 

● ABT水彩で塗る
 

まずはトマトから塗っていきます。
885をパレットに塗って、水を含ませた水筆で溶いて使います。
まずは水多めにして全体を塗ります。
トマトの艶感がでるようにハイライト(反射して光っている部分)は塗らずに残しておきます。
 
 


全体に色がついたら少し濃い色を影に入れていきます。
トマトはオレンジ寄りの赤なので、パレットで985で黄色味を足してから塗ります。
紙に最初の水気が残っていても大丈夫です。
 
 


さらに暗めの影を足していきます。
今度は先ほどのパレットに177を少しだけ混ぜて使います。
トマトの下部分の影になる位置にちょんちょんと色を置いていきます。 
177はトマトのヘタにも使います。
実の赤い部分が乾いたら、ヘタに水筆で177を塗ります。
 
 


次はピーマンを245と水筆で塗ります。
ピーマンはかなりツヤツヤ野菜なので、ハイライトをたくさん残します。
ぼこぼこしている形の膨らんでいる部分を残すと立体感がでます。
影になるカゴとの境目には177で暗さを足しましょう。
 
 


ナスを塗ります。
水多めで679で全体を塗りますがヘタの近くは塗らずに残します。
紙が乾かないうちに885を筆先で少し取り、先ほど残した部分に色を置きます。
洗った筆でヘタとの隙間を馴染ませてグラデーションにします。
紫部分に679を重ね塗りして濃いナスらしい色にします。
ヘタは実の塗りが乾いてから塗るので、先にきゅうりを塗りましょう。
 
 


きゅうりを245と水筆で塗ります。
ゴツゴツした質感を出せるように点状に塗り残しを作ります。
乾かないうちに177を影部分に塗ります。
水筆で177を取ったら、筆先でちょんちょんと塗ります。
塗り残した部分を潰さないように気をつけましょう。
 
 


とうもろこしを985と水筆で塗ります。
水で溶いたインクで粒を描いていきます。
粒は茎に近づくほど大きく、先端にいくほど小さくなるので、それを意識して描きます。
途中途中で筆先にインクを付け直すと自然に粒ごとの色むらができて綺麗です。
 
 


ナスが乾いてくる頃なのでナスの影を塗りましょう。
679を水筆で少し濃いめに取り、カゴとの境目などに重ね塗りします。
 
 


かぼちゃを塗ります。
245と985を混ぜて黄緑色を作ります。水を多めに含ませた水筆で薄めてから塗ります。
ツヤとなる部分を少し塗り残して全体的に塗ります。
重ね塗りが滲まなくなるくらいまで乾いたら、245を重ね塗りしていきます。
皮の縦筋の感じが出るように、細長い塗り残しを作りながら塗ります。
ヘタは先ほどの245と985を混ぜた黄緑色で塗ります。水の量を少なめにして濃い色にします。
 
 


野菜全体が塗り終わりました!
全体をみて微調整をします。
トマトのヘタの影、とうもろこしの粒の色、かぼちゃの塗り足しをしました。
 
 


カゴを塗ります。
985と885を混ぜてオレンジ色を作り、そこに245を少し加えてくすんだ色味にします。
水を調整して薄茶色ができたらカゴの模様に合わせてさっさっと塗ります。
全て塗り潰そうとせず、筆跡がわかる程度の方がカゴらしさが出ると思います。
 
 


カゴの影を塗ります。
先ほどのカゴを塗った色にさらに177を混ぜて暗めのグレージュを作ります。
色は大体でいいので、パレットで気楽にブレンドするのがおすすめです。
野菜と同じ色のABTを使っているのでどんな分量でもなんとなく馴染みます。
水多めで塗った後、乾く前に濃い色をカゴとの境目にちょんちょん置きます。
 
 

イラスト部分が完成しました!
 
 
 
● ABT水彩で文字を描く
 
ABTのインクを水筆で解いて文字を描いていきます。
245と177を混ぜて好みの色を作ります。トマトの木をイメージした緑にしました。
 


太い部分と細い部分、ぽてっとしたところなど、抑揚を助けると印象的な文字になります。
書道のように一回で書くのではなく、好みの形になるように塗るという感じです。
※句点(。)は一般的に挨拶状にはつけないようですが、今回は文字のバランスのためにつけています。
 
 


文字を描き終えたらハンコ部分を描きます。
885のサインペン側を使います。
途切れ途切れにすることでハンコのかすれを表現しました。
 
 


最後にもう一度微調整をします。
ABTのブラシ側で直接塗って、濃い影をつけていきます。
 
 
 

●完成
 

残暑見舞いポストカードが完成しました!
 
 
 


 

 
 
 

●まとめ
 

野菜は色鮮やかなうえに質感もさまざまなのでABT水彩で表現するのがとても楽しいモチーフでした。
ABT1本でも水で薄めたり重ねたりすることで、淡い色から締まった色までたくさんの色が作れます。
赤と緑のような補色同士を混ぜることで落ち着いたトーンの色も作ることができます。
今回のカゴの影も、混ざりきらない部分の色が幻想的できれいでした。
ABT水彩、まだまだ発見がりあそうです。
 
みなさんもぜひ試してみてください!

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