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【FUN ART LOVERS】Vol.14 奥平 雄大
1杯のコーヒーに“FUN”を描く、 わずか20秒のアートの世界。

1杯のコーヒーをキャンバスに見立て、芸術性とおいしさを競い合う――。奥平雄大(おくだいら・たけひろ)さんは、ラテアート世界大会3位、国内でもいくつものビッグタイトルを持つ、日本屈指のバリスタです。奥平さんが得意とするのは、ピックなどを使わず、ミルクを注ぐだけで模様を描き出す「フリーポア」という技法。極限まで集中力を高めてわずか20秒で創り出すアートの難しさと面白さ、ラテアートの魅力やこだわりについて語っていただきました。

 


 

――奥平さんがコーヒーの魅力を知ったのは、20代半ばのことだったとか。どんな経緯でコーヒーの世界に入ろうと思ったのですか?

 

奥平雄大さん「ワーキングホリデーでオーストラリアのメルボルンに住んだことがきっかけですね。メルボルンって、世界の中でもコーヒーのレベルが群を抜いて高いんです。大手のコーヒーチェーンも撤退してしまうくらい、おいしいコーヒーを出す素敵なカフェが街にあふれていて、僕もカフェで働いてみたいな、と」

 

――そこで、コーヒーやラテアートについて学んだのですか?

 

奥平雄大さん「いえいえ。メルボルンのカフェは、未経験者を雇ってくれるほど甘い場所ではなかったです(笑)。すべてのカフェに門前払いされ、無念のうちに帰国となりました。次はコーヒーを学ぶ学校に通うぞ!と決意して、日本で渡航費用を貯めました。そのときに働いたイタリアンレストランで、初めてラテアートを見たんです」

 

――それが、2008年ごろのお話しですね。

 

奥平雄大さん「当時まだラテアートはあまり知られていなくて、そのお店で作っていたのもシンプルなハートの柄などでした。そのアートを見ながら、ほぼ独学で技術を身につけました。その後、メルボルンでおいしいコーヒーについては学びましたが、ラテアートは独学です」

 

 

――独学で! すごい熱意ですね。熱中すると、とことんまで突き詰める性格だったのですか?

 

奥平雄大さん「うーん。それまでは、何か一つのことに打ち込むという経験をすることなく生きてきたんですよ、僕。どこにでもいる普通の子どもで、なんとなく大学に入って、なんとなく就職をして…。
これ!という好きなものもなく、会社をやめて、日本に居たくないというだけでワーキングホリデーに行きました。しかも、最初のワーキングホリデーはニュージーランドに1年も居たのに、英語もほとんど身につかなかった。これじゃダメだなと、次は日本人が少ないメルボルンを選び、コーヒーに出会ったわけです」

 

――そこからの覚醒ぶりはすさまじいですね。再び訪れたメルボルンで2つのカフェに入って学び、2011年に千葉県・流山にカフェをオープン。ラテアートの日本チャンピオンに何度もなられていますし、2018年には世界第3位。数々の世界大会ですばらしいタイトルをお持ちです。

 

奥平雄大さん「それまで、楽しいと思えることがあまりなかったですからね。カフェを経営するのも、コーヒーの味を追求するのも、ラテアートの訓練をするのも、“わー、楽しい、楽しいから大変だけどやろう!”と思えました」

 

奥平さんが経営する2店舗目のカフェ「Up to you coffee」(東京都台東区)には、数々の大会の受賞トロフィーが並ぶ。

 

 

渦とミルク――液体で描く、
物理学とフィジカルのアート。

 

――ラテアートには、カップにミルクの渦を作り出して描く「フリーポア」と、フォームミルクを載せた土台にピックを使って描く「エッチング」の二つの手法があります。奥平さんが得意とする「フリーポア」の魅力とは?

 

奥平雄大さん「ミルクを注ぐ腕だけが問われる、というシンプルさでしょうか。フリーポアは物理の世界なんです。エスプレッソとミルク、液体と液体の関係性でアートを描く。物理的に液体を捉えて、イメージ通りの絵が浮き出るよう計算し、それを機械のように実行する作業です。体をいかにコントロールするかという、スポーツのようなところもあります」

 

――フリーポアは、物理であり、スポーツ。

 

奥平雄大さん「はい。そういう発想に頭が切り替わらないと、なかなかできないです」

 

きめ細やかな泡に渦を生み出し、ミリ単位の精緻な線をいくつも描き出す奥平さんのラテアート。思わず見とれる美しさ。

 

――かなり頭と体を使うアートなのですね。

 

奥平雄大さん「液体の中に、別の液体が浮くということはどういうことなのかを、頭で理解して、体できちんと再現できるかどうかが大事です。しかも、コーヒーやミルクの状態は一定ではありません。コーヒーは豆や抽出方法、水質や温度などで成分が変わりますし、ミルクも成分が変われば液状が変わります。液体同士の相性もあります。それらの条件を揃えないと、精細な線が出ませんし、カップの中で天地・左右のバランスがとれた絵になりません。カップの満量ぴったりにするのも腕が要りますし、何よりも、おいしさにつながりません」

 

ハートの上にお花を咲かせる、複雑な図案。チャンピオンの技術にただただ、惚れ惚れ。


――デザインはどのように発想されるのですか?

 

奥平雄大さん「フリーポアは渦で描くものなので、図案はある程度は決まってきます。基本のパターンがいくつかあって、それらの組み合わせに腕(クリエイティビティ)が問われます。例えばハートに花を咲かせたり、葉っぱのような装飾を入れたり…。あれこれ入れすぎると崩れて絵が分からなくなるし、イメージ通りに仕上げるには、最初のイメージと計算、体のコントロールが重要です。
デザイン構成は、お客様のキャラクターや状況によって少しずつ変えますね。いつも同じだと楽しくないですし、特別なことがあったと聞けば特別なアートにしたいですし。何万回やっても、1つとして同じものができあがることはないです」

 

――シンプルだからこその奥深さがありますね。

 

奥平雄大さん「湯音が0.1℃違うだけ、注ぐミルクが1mm違うだけでも、アートが変わってきますからね。ほんの20秒くらいの作業ですが、大変な集中が必要です。世界大会など、大きなタイトルがかかると緊張して腕の震えが止まらなくなったりする人も多いです。普段、お店で提供するアートもそうですが、リラックスかつ集中しないとできませんね」

 

――まさに心技体(しんぎたい)! エッチングもそうですか?

 

奥平雄大さん「エッチングは、また違う技術やセンスが必要です。エッチングはまさしく紙に絵を描くのと同じですので、無限に手描きできる部分が楽しいですね。好きな絵やキャラクターを描けますし、文字も入れられる。万が一失敗しても、消しゴムで消すように、スプーンで泡をすくってやり直せばいい。泡をカップの中に『美しくレイアウトする』という能力は問われますが、作り手の意図した絵は描きやすいです。絵が上手な人は上達も早いと思いますよ」

 

かわいいトンボを泡の上に手描きしていただきました。


――フリーポアとエッチングの違いはどこにあるのでしょう?

 

奥平雄大さん「フリーポアはスリルがあります(笑)。もうひとつ、フリーポアは数十秒でつくるのに対し、エッチングは2~3分はかかるので、おいしさはフリーポアのほうが上かもしれません。これは好みですけど、コーヒーはやはり入れたてが一番おいしいと僕は思います」

 

カクテルピックを使って、トンボを描く奥平さん。

 

――ラテアートの練習はどのように行うのでしょうか?

 

奥平雄大さん「エッチングは、まさに絵の練習と同じように、まずは紙にラフスケッチを描いてみて、それをミルクの上で描くという感じ。フリーポアは繰り返し体に覚え込ませます。僕が大会によく出ていた頃は、ミルクを1日に3~4リットルは使って、何度も何度も練習しました。ラテアートの大会は『美しさ』だけでなく『おいしさ』も審査されます。味へのこだわりがあってのアートだということを、いつも念頭において練習しましたね」

 

 

「カフェ」はコーヒーを楽しむトータルな空間。
ラテアートは、エッセンスの一つです。

 

――ラテアートはおいしさありきの芸術なのですね。

 

奥平雄大さん「はい。コーヒーのおいしさが土台にあっての、プラスαの楽しみですね。料理の盛り付けと同じで、おいしさや日常に彩りを添えるものです。ラテアートを目の前にするとお客さまはすごく喜んでくださいますし、喜ぶ顔を見るとやってよかったなと感じます。でもカフェは、ドリンク、フード、デザート、装飾、すべてを楽しむ場所。ラテアートを楽しんでくださった方がもう一度足を運びたくなるお店であるためには、やはりおいしさが大事なんです」

 

奥平さんが使うコーヒーマシンは、湯音を0.1℃単位、抽出時間を0.1秒単位で設定できる高機能なもの。ラテアートの世界大会で使われているモデルで、東京で最初に導入されたそう。

 

 

――ラテアートのチャンピオンである以上に、カフェのオーナーであるという意識が強くあるのですね。

 

奥平雄大さん「現在2店舗経営していて、千葉県・流山の店舗は10周年になります。流山の店舗は、いまは妻がメインでやっています。妻はエッチングの日本チャンピオンなので、僕にはできないすごいラテアートができますよ」

 

 

――カフェの経営は楽しいですか?

 

奥平雄大さん「楽しいです。人を育てるのは大変ですが、人が育たないと、次の楽しいことができないので(笑)。いいカフェを見るともう一つお店を持ちたいと思うし、海外のカフェにももっとたくさん行きたい。となると、その間お店を守ってくれる人を育てないといけない。僕は楽しくないと生きていけないので、自分が楽しいことをするために、今頑張って仲間を増やしています」

 

 
――まさに「FUN」に生きておられる、と。「FUN ART」という言葉から、どんなことを連想されますか?

 

奥平雄大さん「数年前、Instagramで仲間を募って、ラテアート交流会をよくやっていたんです。誰かのお店を貸し切りにして、ラテアートをやる人たちが集まって、ワイワイ喋りながらコーヒーを入れたり、ラテアートをしたりして…。遊びの延長でしたけど、学びも広がりもあってすごく楽しかった。FUN ARTと聞くと、あのときの情景が思い浮かびます」

 

――アートで仲間とつながっているのですね。ステキです。最後に、読者にメッセージをいただけますか?

 

奥平雄大さん「やはり、楽しい気持ちでやることが大事かな、と。僕も嫌な気分や感情がゆれているときは、自分のベストとは程遠いものができてしまう。”ラテアート楽しいー!”って気分のときが、一番いいものができます。アートは自分の気持ち次第でコンディションが変わるもの。楽しい気持ちでやるのが一番です!」

 

 

 


Profile
奥平雄大

1982年生まれ、埼玉県出身。大学卒業後の2006年からワーキングホリデーにて海外に3回滞在する。2010年、メルボルンのカフェ「Veneziano coffee roasters(the first pour)」「Willim espresso bar」でバリスタとして勤務。2011年、千葉県・流山にカフェ「CAFERISTA」オープンする。2012年より国内のラテアートの大会で数々のタイトルを取り、日本代表として世界大会でも上位成績を収める。2019年、東京都台東区に2店舗目となる「UP TO YOU COFFEE」をオープン。
Instagram:https://www.instagram.com/takehiro_okudaira/

 


文/飯田 陽子
撮影/樋渡 創

 

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