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【FUNART JOURNEY】tour.1 古き良きプラハの看板デザイン

アーティスト・プロフィール

大成哲(アートサバイブログ)

旅する感覚でアートを楽しむ新企画“FUNART JOURNEY” 
海外の日常にあるアートの楽しみ方などを現地からのレポートでお届けします。
第1回目はチェコ在住の彫刻家・大成哲氏が代表のアートサバイブログが「古き良きプラハの看板デザイン」をテーマにレポート。

Have a fun art journey !

 


 
古き良きプラハの看板デザイン

 

中世の街並みが色濃く残るチェコ共和国の首都プラハ。この街並みに魅了される人々は後をたちません。これほどまでに世界中の人を惹きつける魅力はどこに隠れているのでしょう。今回は建築物の歴史や、看板規制をはじめとする景観保護のルールをもとに、そのヒントを探りました。
そこから見えてきたこと。それは、楽しみながら街並みをデザインしていく、誇り高いプラハ市民の姿でした。

 

チェコ共和国について

チェコ共和国はヨーロッパの中心にあり、中東欧へ分類される国です。北海道とほぼ同じ広さの面積に、日本の12分の1程度の人々が暮らしています。チェコには、多くの遺産が残っていたり、画家 アルフォンス・ミュシャや、小説家 フランツ・カフカを輩出していたりと文化的な魅力も多くあります。また、世界的にも有名なボヘミアングラスは、チェコの工芸品です。
そしてチェコといったら、なんと言ってもビール。国民一人当たりのビール消費量は世界一と言われていて、外食先では水と同じくらいの金額でビールが注文できます。夕方のポスボダ(チェコの居酒屋の総称)は仕事終わりの人々で溢れていて、お店の外までビールを飲む人で賑わっています。

 
建築の博物館プラハ
 

ヨーロッパには中世の街並みを残す都市がいくつかあります。しかし、その中でもチェコ共和国のプラハは少し特別で、「建築の博物館」という異名を持っています。それは、決して大きくはないプラハの街中に、異なる時代の建築様式で建てられた建物が残っているからです。何世紀もの時代が離れた建物が隣同士に並んでいるだけではなく、さまざまな建築様式がひとつの建物に組み込まれていることも珍しくありません。つまり「建築の博物館」とは、建築物でダイバーシティ&インクルージョンを体現した街のことなのです。
それではプラハで見られる建築様式を、歴史と美的感覚を交えてご紹介します。
 
 

ーロマネスク様式 / 10世紀後半〜13世紀
重厚な壁と小さな窓、半円アーチに特徴があり、どっしりとした印象があります。写真は、プラハ城にある聖イジー教会の内部です。
 
 

ーゴシック様式 / 12世紀中頃〜15世紀末
林立する尖塔や大きなステンドグラス、頭の尖った(尖頭)アーチに特徴があり、垂直線を強調したデザインからは天高く昇るような荘厳な印象を受けます。

写真にある聖ヴィート大聖堂はプラハを代表する建造物のひとつです。プラハは、カレル4世により14世紀に神聖ローマ帝国の首都となり、黄金期を迎えました。1344年に着工したこの教会ですが、完成したのは585年後の1929年です。この膨大な時間の全てが、建築工事に充てられた訳ではありません。様々な宗教・思想の対立により建築が中断されたり、建物の一部が壊されて修復に時間が掛かったり、資金不足で作業が打ち切られたりと様々な時代背景が影響しています。長期に及んだ建築工事の間には、建築様式のトレンドも変化していきました。そのため、ゴシック、ルネサンス、バロックなど、各時代の建築様式が、ひとつの大聖堂の中に混在しています。
 
 

ールネサンス様式 / 15世紀中頃〜16世紀末
水平や半円を取り入れ、シンメトリーなどのバランスが重視されたデザインは「端正かつ華麗」と言われています。壁を引っ掻くことで模様を描くスグラフィットという装飾技法も、ルネサンス様式の特徴の一つです。職人によって整然と描かれているスグラフィット模様ですが、どことなく温かみを感じられるのは、線の一つ一つが職人の手によって彫られているからでしょう。彫りの深さの違いや、線の角度のズレなど、近くで見ても楽しめます。
 
 

ーバロック様式 / 17世紀初頭〜18世紀中期(左)
楕円や曲線を多用したデザインは、重厚さの中にも華麗な躍動感があります。写真は、ホーリー・トリニティ教会です。日本語名では検索エンジンに引っかからないようなので、気になる方は「holy trinity church prague」で検索してみて下さい。
ーアールヌーヴォー様式 / 19世紀末〜20世紀初頭(右)
花やツル草などの有機的なモチーフを使ったデザインが特徴的な、優美で美しい建築様式です。
そして、アールヌーヴォーといえばアルフォンス・ミュシャを忘れてはいけません。彼の作品でよく使用されている特徴的な字体は、今でもプラハ中に溢れています。愛国心を強く持っていた彼のアイデンティティが街中に根付いているのだと感じられ、嬉しくなります。
 
 

ーキュビズム様式 / 1911〜25年(左)
ピカソなどの絵画で知られるキュビズムを3次元で表現した、世界でもチェコでしか見られない、稀な建築様式です。直線が多くカットグラスのようなデザインと、円を多用したロンド・キュビズムの2種類があります。写真の三世帯住宅は、ロンド・キュビズムではなく、キュビズムです。
 
ー現代建築 / 20世紀後半〜(右)
機能的かつ合理的であることを目指した建築様式で、装飾性を排除したシンプルなデザインに特徴があります。画像の新国民劇場は、1983年に造られたネオルネサンス様式の建物なのですが、現代建築に繋がるミニマルさも持ち合わせています。

 

長い歴史があるこれらの建築物は、もちろんそれ自体に人を惹きつける魅力があります。しかし、歴史的な建築物があるだけでは ”街並み” としての魅力には繋がりません。”街並み” としての魅力を作り出しているもの、それは街を彩るグラフィックでしょう。建築物に取り付けられた洗練されたグラッフィクはどれも個性的で目を惹きますが、建物に調和していると思います。むしろ、グラフィックがあることで活気が生まれ、建物の魅力を際立たせているように見えます。

次に、建築物を活かし、美しい街並みをデザインする、プラハ市の取組みを紹介します。

 

 

CULTIVATING PRAGUE

 


「Cultivating Prague」は看板デザインについてのガイドラインで、直訳で ”プラハを耕す” という意味があります。これは、いくつかに点在している看板についての規則をプラハ市が一つにまとめたもので、Cultivating Prague自体に法的な拘束力はありません。そのため、ガイドラインに反している看板も街中には存在しています。
京都にも景観保護のために、ライトの色や発光量などについての規制があります。同じく文化財保護に手厚いプラハも、やはり力を入れている分野だということが分かりました。
 
Cultivating Pragueの冒頭には、9つの方針が書かれています。この方針を参考に、特に印象的だったアイデアをいくつか紹介します。

 

 

ー 少ない方が豊かである

 

(左)影として文字が壁に映し出される。シンプルなデザインが、思わず目を引く。
(右)赤:悪い例 / 緑:良い例


20世紀のドイツ人建築家ミース・ファン・デル・ローエが残した「Less is more」の精神が、プラハの看板ルールでも提唱されています。看板に記載するのは店舗の名称やロゴマークのみ。電話番号などの情報や、商品写真などのグラフィックは避けること、などです。建物自体のデザインを邪魔しないという意味もありますが、人々が看板に注目する僅かな時間で理解できるような必要最小限の情報に絞るという、実用性もあるようです。
規定のルールの中でも、鑑賞者を楽しませたいという想いを感じる看板が多く、ルールがあるからこそ工夫が凝らされ、結果的に作り手と鑑賞者のコミュニケーションが増強されているように感じられます。

 

 

ー色や照明についての制限

 

ロンドキュビズム様式。シックな建築物にマッチする落ち着いた色合いの看板。


看板に使用してよい色には制限があり、蛍光色などの派手な色は避けるように推奨されています。オーニングという布製の日除けについても、天然素材に近い色合いが理想とされています。
照明についての制限も多くあります。点灯してよいのは文字だけで、看板全体を光らせることや、スポットライトを当てることは避けるように言及されています。また、薬局など特定の店舗を除いて、点滅する照明はNGだそうです。
もちろん、活気あふれる東南アジアのネオン街や、煌びやかなラスベガスの街など、場所ごとに似合う演出は違います。しかし中世から続くプラハの街には、このシックな演出がお似合いです。

 

 

ープラスチックを使わない試み

 

細工が施された金属製の看板。経年でできたサビと褪色に、重厚感を感じる。


プラハの建築物は様々な素材でできていて、ファザードは漆喰製だったり、石造りだったりします。金属に縁取られたガラスのショーウィンドウや、木製の扉をしつらえたエントランスもよく見かけます。このように長い時間に耐えられる素材は、時間の経過と共に重厚な美しさを宿します。そのような街並みを、すぐに劣化してしまうプラスチックで覆ってしまうのは勿体ないとされていて、金属、木材、ガラスなどの伝統的な素材を看板として選ぶように推奨されています。
経年変化を楽しめる素材を使用することは、現在のサスティナブルなムーブメントにも合う理念だと感じました。さらに高品質な素材は、お店のイメージを格上げすることにも繋がるだろうと思います。

 

 

ーファザードを活かす

 

(左)ファザードのレリーフを修復している。
(右)赤:悪い例 / 緑:良い例


ファザードとは建物正面のデザインを指します。西洋建築では、正面だけに一段と豊かな装飾を施した建築が多くあります。このようなファザードのデザインを生かすことも、ルールの中に組み込まれていました。ファザードの形状を無視するような位置に看板を設置してはいけない、ファザードのデザインを看板で覆い隠してはいけない、などです。画像の「悪い例」を見ると、ファザードのデザインを無視した看板が取り付けられています。
日本建築では、正面や側面などの一部の面を極端に仕上げているものは少ないため、「ファザード」という概念を意識することは多くないと思います。しかし、この推奨例を知ったおかげで、プラハの人々がいかにファザードを大切にしているかということに気がつきました。

 

 

ー建物としての統一性

 

(左)すべての看板のサイズや設置場所が統一されている。
(右)赤:悪い例 / 緑:良い例


プラハはひとつの建物の1階部分(ヨーロッパでは0階)に、数種類のテナントが入っていることが多くあります。その場合は、テナント同士で相談して看板のロゴの大きさ、位置を決めることが推奨されているようです。看板のサイズから、設置場所、さらに照明まで統一することが理想とされています。
テナント同士で協調して建物をブランディングしていく、とても良い取組みだと感心しました。

 

 

街並みのグラフィック

もちろん街には、看板以外のグラフィックもあります。街に調和しつつ、街の雰囲気を作り上げている素敵なデザインをいくつか紹介します。

 


左上:区表示板。経年で味わいが増すブリキ製の表示版。
右上:街信号機の押しボタン。最低限の要素からなるシンプルなデザイン。
左下:手書きの案内表示。アールヌーヴォー風の手書き模様がユニーク。
右下:バス停のグラフィック。キュビズム文字にも見える。

 

 

プラハ市民から感じる「FUN ART」
今回例にあげたアイデアは、Cultivating Pragueのほんの一部です。隅々まで読み込むと、看板のサイズや、店頭に出すメニューボードの数など、かなり細かい規定があります。この全てをクリアするのは大変だと思いますが、掲載した写真の看板は「街の皆でルールやマナーを守り、いかに独創性を出すか」を楽しんでいるように見えます。
自らのアイデアで街を活性化させているプラハの人々には、まさに「FUN ART」の精神が根付いているのではないでしょうか。

 


写真・文/大成哲(アートサバイブログ)

チェコ共和国首都プラハ在住。彫刻家の大成哲を代表とするメンバーで。アーティストハウツーや東ヨーロッパの芸術文化情報などを発信中。
https://artsurviveblog.com/

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