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【FUN ART LOVERS】Vol.18 大宮エリー
絵を描くことは自分のきもちをビジュアル化すること。

「これは運命かも!?」と、やったことのない仕事に挑戦し続け、活動の幅を広げている大宮エリーさん。アートとの運命的な出合い以降、約10年に渡りアーティスト活動を続けています。さらに、最近ではクリエイティブを通じて生きる力、考える力を養うオンライン学校「エリー学園」で参加者から大いなる刺激を受け、ドラマチックな日々を送っているとか。ハッピーなオーラ満載の大宮さん、どのようにアートと向きあっているかを伺いました。

 


 

未経験のおしごともまずやってみる。
そこから世界が広がっていく。

 
 
――どういった経緯でアートの世界に入ったのですか?

 

パルコミュージアムで2012年に「思いを伝えるということ展」がきっかけでした。パルコミュージアムの方から「何か展覧会をやりませんか?」と言われて「展示するもの、何もないよ」と返したら、「だったら、つくればいいじゃないですか!大宮エリーがまだやっていないこと、アート。そこにお金をだします!」と。しびれました。やったことなかったけれど、挑戦することにしました。

それまで私は、文章を書いたり、ドラマを撮ったり、舞台をやったりしていたので、詩と装置を使ったインスタレーションをおこなうことにしました。例えば、“たちはだかるドア”という作品は、人間より大きなドアとその前にちらばった無数の鍵からできています。ドアの横には『人生には何度もこのドアが立ちはだかる、でもその度に私たちは開けなければならないのです』という言葉が。乗り越えるというインスタレーションです。次の世界への扉を思い切ってあける行為を体験してもらう。来場者は足元に落ちているいくつもの鍵から、ひとつだけ拾ってドアを開けるのですが、ひとりの来場者が選べずにいました。あとから来た人が「直感で選んで開けた方がいいですよ」と話しかけました。「でも、開かなかったら?」とまだ不安げな彼に、「いや、信じて開けた方がいいですよ!」。結果、彼は思い切ってバーンと開けて、「開きました!」と嬉しそうに次の世界へ踏み出したのです。また、中には泣いている方もいて。あとから話を聞いたら、アーチェリーの選手でした。的に当らなくなるというスランプに陥っていたところ、バーンとドアが開いた瞬間に、バーンと的に当たった感覚を思い出すことができたそうなんです。それぞれの人の状況によって解釈が変わるのが、おもしろかったです。受け取り手が、物語を自分で作るんです。

 

 

 

――絵はその頃すでに描いていたのでしょうか?

 

絵を描き始めたのは、「思いを伝えるということ展」のあとです。展覧会の評判を聞きつけた方から、モンブラン国際文化賞のオープニングセレモニーの会場に、そのときの装置を展示させてほしいというお話しをいただきました。それで、前日に打ち合わせに行ったのですが、ライブペインティングをする予定だった海外のアーティストが来られなくなって困っていらしたんです。で、「エリーさん、描いてくれませんか?」と。絵をきちんと描いたことがなかったのでびっくりしましたが、さすがにすぐに代役は見つからないだろう、それは困るだろうと思い、引き受けてしまいました。

当日、会場で著名な建築家さんがいらしたので「ここで今日絵を描く」と言ったら、「え!? それ、めっちゃやばいよ。美術界の重鎮しかいないよ」と言われてしまいました。どうしよう、とことの重大さと安請け合いしたことにオロオロしていたら「飲んで描くしかないよ」と言われて、そうかと。着物姿でワインをラッパ飲みしながら描くことに。それがパフォーマンスとしておもしろかったのかすごく盛り上がりました。ですが、描き終わって受賞者のベネッセの福武總一郎氏が「この絵、どうするんだ」とお聞きになるので、てっきり怒られるのかなと思っていたら、「素晴らしい!この絵、ほしい!」とおっしゃったんです。それが私の画家デビューです(笑)。未経験のことが飛んできたときに、私はいつも、この運命を楽しもうと思うことにしています。すごく不安で怖いけれど、神様はきっと乗り越えられる試練しか与えないんじゃないかなと。

 

(左から)代官山ヒルサイドテラスでの展覧会の作品をまとめたEMOTIONAL JOURNEY(フォイル)、短編小説集「猫のマルモ」(小学館)、絵本「虹のくじら」(美術出版社)

 

 

 

絵を描く理由を、描き続けるうちに知ることに。

 

――衝撃のデビューから12年描き続けている。その理由は何ですか?

 

初めの頃は、展覧会を依頼されたら描く、そして個展の繰り返しで、自分でも訳がわからず描き続けていました。ところが、自分にとって描く理由ができたともいえる不思議な出来事がありました。

プライベートで久高島(沖縄県)に行ったとき、偶然、神聖な儀式に参加させてもらったんですね。そこで、お供えのお餅をいただいたら高熱が出てしまいました。翌日、大阪で絵を描く仕事が入っていたので、おばぁに解熱剤がほしいと言ったのですが、「神様の熱だから、下げちゃダメだ。絵を描けば治る」と言われたんです。仕方なく具合が悪いまま大阪に移動し、海の絵を描きました。そうしたら、熱が下がったんですよ!でも、時間が経っていたので自然治癒したのかなぁと。

ところが、後日、その絵を展示してくれた美術館から電話がかかってきまして。「エリーさんの絵の前で人がバタバタ倒れて、ぐうぐう寝ている」と。「起こした方がいいのか、寝かした方がいいのか、作家さんの意図を」と聞かれたので、「寝かせておいてください」と。実は、その絵、久高島で聞いた三線の音を流しながら、海の中のゆりかごのような気持ちに観る人がなってくれたらなという祈りを込めて描いたんです。それで、もしかしたら、久高島の清らかなバイブレーションみたいなものが絵によって転写されたからみんなが寝たのではないかと思いました。それが絵を描く理由なのではないかと。そういう言葉では伝わらない、波動のようなものを伝える。これが私の絵を描く意味、指針になったように思います。

 

 

 

 

――いつもどういう気持ちで描くんですか?何か準備をするんですか?

 

そうですね。まず、描き始める前に木がモリモリ生えている明治神宮などの神社へ行きます。そこで、自然からパワーをもらって、気持ちをリフレッシュさせる。そういった自分を整える作業に時間をかけます。やらなきゃ、とか、そういう気持ちが少しでも入ったらだめだと思うんです。私にとって絵を描くのは、こういう美しいものを描きたい!美しい自然に感動したときにその感動と感謝と喜びを絵にするんですが、それが損なわれないように。わくわくして描きます。そのために、アトリエにこもって、大きめの音で自分がいい波動だなぁと思う音楽をかけて集中して描きます。ときに、せっかく気持ちを整えても左脳を使わないといけない電話がかかってきて描けなくなることもあります(笑)。そんなときは描くのをやめてさっさと自宅に帰って寝ちゃいます。

 

 

クリエイティブ教育を通じて、
生きるチカラ、考えるチカラ、思いやりを育みたい。

 

――絵を通じてチャレンジしたいことはありますか?

 

2016年に青森県の十和田市現代美術館で「シンシアリー・ユアーズー親愛なるあなたの大宮エリーより」という展覧会をしました。その同時開催企画として地元商店街の空き店舗に絵画作品を壁紙のように貼って、「商店街美術館」というのを開催してみたり、許可をいただき、シャッター街のシャッターに地元の子どもたちと絵を描いたりしました。そういった地元の方とアート制作をすることで、その土地の活性化に少しでも貢献できたらと思っています。食とアートとか、いろいろイベントしたりして。十和田でやらせていただいたこともまだ地元の方と見た完成系を達成はできていないので、状況を見てその土地の方々とのタイミングをみながらまたご縁をつなげたらなと思っています。「またきてね!」と言われたことを「忘れてないぞ」と伝えにいかないと。

「君の絵は、見ると元気になるから、いろいろな会社の真っ白い壁にかけて、日本の働く人を元気にしなさい」と海外にいらっしゃる日本のアート財団の方に言われたことがあるんです。
今後はそんな、私のアートでみんながいい環境で過ごせるようになるのなら、そういうこともやってみたいなと思っています。

 

 

巨大立体アート作品「お花の妖精 フラワーマン」は3月下旬まで大阪・梅田にて展示中。両サイドが滑り台になっていて遊べる。下絵は色鉛筆で描いた。

 

――いま、いちばん楽しいプロジェクトは何ですか?

 

「エリー学園」ですね。きっかけは東日本大震災。すごくショックでした。と同時に、個人個人に考える力がないと動揺するなぁと思いました。大変な世の中になってしまったとき、柔軟に自分も変化していかないといけない。こうじゃなきゃいけないっていう固定概念が、自分の変化を鈍化させてしまう、不自由にする気がするんです。だからこそ、今までの通念が、通用しない時代、クリエイティブ力が今まで以上に必要だなと。日本では長年、答えがひとつという教育がおこなわれ、自分もそういう中で育ってきましたが、クリエイティブ力があると、あっちもこっちもダメだとしてもまだまだ手立てをいくらでも考えられるんです。答えは一つじゃない、という柔軟さ。実際、答えって一つじゃない。生き方もいろいろ。正しいとか間違いとかないですからね。月3回の授業でいろんな思考力、企画力を育てる場をつくることにしました。オンラインで。

 

大人を対象とした「エリー学園」
小学生から中学生くらいの子どもが対象の「こどもエリー学園」
いずれも全国はおろか世界中から人が集まり、学び、交流している。

 

 

それまではさまざまな仕事をして肩書きがひとつではないことがコンプレックスだったのですが、クリエイティブの基礎体力、体幹があるからこそ、いろんな仕事ができたのではないかと思い、そのノウハウを学園に注ぎ込みました。2020年に立ち上げ、現在、24歳から67歳まで、さまざまな仕事の方、主婦の方、学生さん、場所も北海道、九州、海外からも通ってくれています。参加者同士がつながっていて、まるでオンライン上にでっかい地域ができたみたいなんです。右脳を鍛えながら、家族、仕事以外の、第三の場になったらなと。多拠点時代ですからね。オンラインなので距離を超えていい仲間ができます!近々、漆の木の植林に学園生徒と行ったり、瀬戸内国際芸術祭も手伝ってもらえたらなと思っています。

 

 

 

――「FUN ART」という言葉から、どんなことを連想されますか?

 

そうですね。子どもは無心で描く、大人は子どもに戻って描くということでしょうか。「FUN ART」って、そんな絵かなと思います。でも、絵にとらわれなくてもいいですよね。料理も「FUN ART」であっていいし、生き方が「FUN ART」でもいい。うん、生きることがアートだったら、自分自身の世界がすごく広がりそうですよね!

 

 

――これぞ「FUN ART」みたいな、アートを楽しむおすすめの方法はありますか?

 

言葉が人と人とをつなぐことは多いかもしれませんが、言葉のない絵のほうが、得も言われぬ気持ちを伝えること、お互いの理解を早めることもあるかもしれませんよね。たとえば、家族で山に行ったとして、写真を撮ってあとで見るのもいいけれど、登った山を家族それぞれが描いてみる。1枚の絵をみんなで描くのもいいかもしれない。作品と捉えると構えてしまうけれど、絵日記のように気軽に描けば、絵が家族の潤滑油になりますよね。それと、お母さんが文字で書き置きするのではなく、絵を描いてテーブルの上に置き、学校から帰った子どもがそこに何か描き足すとかね。いずれにせよ、絵を描くことには毎回発見があります。「私は今日どうしてこの色を選んだのだろう」などと考えると、自分自身や家族、友だちと対話することにもなりますよね。「FUN ART」をコミュニケーションのひとつにしてみたら楽しいかも!

 

 

 

 


 

Profile

大宮エリー
1975年大阪生まれ、東京大学薬学部卒業。広告代理店勤務後独立し、作家業、舞台の作演出、ドラマ・映画監督、映像制作、ラジオのパーソナリティと様々なジャンルで活動。2012年からは観客にイメージや言葉を伝え、来場者が参加して作品が完成するという体験型の展覧会、個展を立て続けに開催し大きな話題を呼ぶ。 絵画制作は、2012年東京都国立博物館の法隆寺宝物館にてモンブラン国際文化賞受賞の福武總一郎氏へのお祝いとして、急遽ライブペインティングを依頼されたことから始まる。2016年には美術館での初の個展「シンシアリー・ユアーズー親愛なるあなたの大宮エリーより」(十和田市現代美術館、青森)を開催し、同時に街の商店街にも作品を展開。2019年には、海外のギャラリーでの初個展「A Wonderful Forest」(TICOLAT TAMURA、香港)を開催すると同時に、アートバーゼルにも参加、ミラノ、パリでの個展、はじめての海外グループ展「Parcours Saint-Germain」参加など、制作活動の初期から大きな飛躍を遂げている。今年2022年は、ロンドンでの個展(https://boulakia.gallery/)、そして瀬戸内国際芸術祭に出展作家として参加が決定しており、犬島にいくつもの作品を点在させるプロジェクトが始まることになる。またエリー学園、こどもエリー学園では学長として授業を行なっている。

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文/大場 祐子
撮影/樋渡 創

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