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【FUN ART LOVERS】 Vol.12 片岡鶴太郎
非日常に昇華するための手段、それがアート。 日々の暮らしからキラキラとした宝をたくさん見つけてください。

芸人、プロボクサー、俳優、画家、書家、ヨガマスターと、マルチな活動で進化し続けている片岡鶴太郎さん。何事にもストイックに、魂をこめて向き合う姿勢で多くの人々を惹きつけています。画業27年を超え、今も精力的に芸術活動を続けている片岡さんに、ご自身にとっての「描く」ことの奥深さや楽しさについてうかがいました。

 

絵を描くことは、自分との対話。
今の自分を見つめなおす貴重な時間です。

 

――今年で画業27年を迎えられましたが、絵を描き始めるようになったきっかけを教えてください?

 

僕が38才のとき、ドラマのロケで朝5時に出発する日のことです。2月初旬の寒い朝でね。まだ、薄暗くて、いつもでしたら、すぐに迎えの車に乗るんですけれど、ふっと気配がしたもので、目を向けるとお隣の庭に紅い花が咲いていたんです。
それまでは紅い花を見ても、さほど心を動かされることはなかったんですけれど、その花には「こんなに健気に咲いているんだなぁ」と強烈な印象を与えられたんですね。
それで、ロケから帰ってきたときに、ちょうどお隣さんに会って、「可愛いですねこの花何ていうんですか」と聞いたら、「これ椿ですよ、椿、知らないの?」と言われて「あー、これが椿ですか」と。
「そうよ、ヤブツバキの筒咲きでね。私、筒咲き好きなのよ。あげましょうか」と言って1輪、切ってくれたんです。
それでね、「この椿を描きたい。これだけ僕を感動させてくれる花を絵で表現できるようになったら、なんて素敵なんだろう」と思ったんです。それまで僕は絵を全く書いたことがなかったんでね、家にあった鉛筆で描いてみるんですが、ぜんぜん絵にならない。それで画材屋に行くんですが、「水彩画ですか?油絵ですか?」と聞かれて、分からないわけです。
困っていると「水墨もありますよ」と言われて、「墨で表現ができる大人になれたら、なんて素敵なんだろう」と憧れをもったんです。それが始まりでした。

 

 

――墨を使って椿を描いたのですか?

 

何度も試したのですが、椿はうまく描けませんでしたね。花は立体的で、なかなかフォルムがつかめないんですね。それで、僕は魚が好きなので、まず魚を描いてみたんです。魚の場合は、多少線がくずれても味になるんです。例えるなら、花は女性、魚は男性。女性はやっぱり綺麗に書かないと失礼にあたる。男性は、線がくずれてもチャーミングに見える。オコゼとかね。下手うまと言うか、味になるんです。そこから魚の絵を集中的に描くようになりました。

 

 

 

――手法はどのように学んだのですか?

 

「画家という人たちは、こんな風に自分が感動したものを描いているのか」と思って、色々な画集を買いあさり、読みあさりました。トンボ鉛筆の4 B ~ 6 B、濃い目の鉛筆で、デッサンから入りましたね。次に墨を使いましたが、墨は難しい。ミスタッチしたら消えないので、緊張感があった。初期のころは、鉛筆で下書きをし、本番は墨で一気に描きました。今は、墨は一気に描いています。その方が、真剣勝負というか、魂が入るんです。墨を使うようになって後は墨彩画に。墨の色添えですね、その後に日本画の手法を教えていただいて、油絵もやって、パステルも。今年で画業27周年になりますが、ありとあらゆるものやってきました。

 

 

――描く対象に応じて画材は変えるのですか?

 

例えば、金魚、日本画の技法で描いています。
絵具をにじませる「たらしこみ」という手法を使っていて、日本画でないと描けないんです。初期の頃は、まだまだ分からないことばかりで、経験を積むしかなかったので、実験的なことを色々試しました。たとえば、にじみを利用するか、しないか、紙にもにじむ紙とにじまない紙があるので、紙の勉強をしましたね。
描きたいモチーフによって画材や手法を考えて、あまた失敗を繰り返し、いろんな経験と学習を重ねて、今もまだ模索中です。

 

 

 

――絵を描く楽しみはどのように感じていますか?

 

絵に魂が歓喜している状態で描きたいので、こう描こうと、最初に決めているわけではないんです。決めすぎると、技術に頼ってしまう。工芸的な量産型の絵になってしまう。手慣れた感じは嫌で、上手な絵が好きじゃないんですよ。技術だけで書いてしまった絵は、自分の中では「良し」としないです。描いていて、そういう傾向が出てきたら、途端にやめるようにしています。
僕は、毎年、椿を描いているのですが、毎回、今の自分を出し切ったと思って描くんです。そして、また椿の季節になって描きたいと思うと、去年よりももっとこうしたいと、違う発想が現れるわけです。椿も毎年同じではなく新しい命。僕も一年経てさまざまな変化がある。当然、椿の見え方も感じ方も毎年変わるわけなんです。
だから、描くんです。今年の僕は、椿に対してどう感じるのかを知りたい。
自分自身を知るために。まさに自分との対話ですね。

 

 

なぜ絵を描きたいのか、
真理を知るために日々向き合う

 

――常々高い目標を掲げ、日々進まれている印象があります。モチベーションを保つ秘訣は何ですか?

 

ボクシングをやってみたいと思ったとき、プロのライセンスを取ると決めました。趣味とか練習生では、本質は分からないと思ったんです。僕は、何ごとも真理を知りたいんです。ヨガもそうで、毎日やらなければ、わからない。
絵をも同じです。なぜ僕が絵を描きたいと思うのか、その真理を知りたい。
真理を知るためには毎日毎日、描き続ける。目標が先へと進んでいくわけです。
今日はここまでは、分かったけれど、「なぜ絵を描きたくなるのか」という疑問はまだ解けないし、もっと魂が問いかけてくる。僕の魂はなぜ絵を描くことを求めてくるのかを知りたいんです。だから、続けられる。続けてしまうんです。

 

 

――描くようになって気づいたことはありますか?

僕の中に色彩感覚というものがこんなにあったのか、ということです。
被写体を見たとき、目で見える色とは違う色が、僕の中から浮かんでくるんです。
実際にはそういう色ではないが、その色の気配を感じるんです。僕の譲れない色彩感覚で、絵という表現でしか僕にはそれを告白できないんです。
なるほどそういうことか。僕に絵を描けと魂が言うのは、この色彩感覚に気づかせるためだったのかと、気づかされました。

 

 

――いつからそのように色を感じられるようになったのですか?

 

はじめは、絵には目で見えた色しかつけてはいけないと思っていたんです。しかし、絵を始めて1年目のとき、さんまを描いていたら、僕の中でいろんな色が見えてきたんです。
これは、いったいどういうことなのか。僕は、色彩感覚がおかしいのかな、と驚きました。しかし、これを表現しないと、僕の絵というものが立ち行かないと思って、感じた色を正直につけたんです。そして、反則なのかなと思いながら、それを百貨店の美術部の方にお見せしたんです。するとその方が、はっと驚きながら
「いいですね、これがあなたのオリジナリティ。もっともっと正直に描いていいんですよ」と言って下さったんです。
あの時に、解放されたと思いましたね。そして、やっとスタートラインに立てたんだと。
僕はね、絵と音には共通点があると思うんです。
音色という言葉があるように、音は奏でることができる。単音が重なっていくと音色になり、一つのメロディーになって、奏者の抽象的なポエジーを表現することができる
絵も同じ。単色を重ねていくと奏でることができ、メッセージや誌的な感情を表現できますよね。

 

 

――これから絵をはじめようとしている方へアドバイスをお願いします

 

絵は上手くなくてはいけないと思っているでしょうが、そんなことは全くないんです。うまく書こうとするから、二の足を踏んでしまうんだと思います。
上手く描くということから入ってしまうと、自分の感性みたいなものを消されてしまいます。その方にしか書けないものを書くことが、一番尊い。だから、自由に楽しんで描いてください。テクニックなどに縛られないでいいんです。

 

 

――すでに絵を描くことを楽しんでいる人たちにメッセージをお願いします。

 

先日、孫が僕の誕生日に絵を贈ってくれたんです。
その絵があまりにも素敵だったので額装屋さんに頼んで額を創ってもらったら、それを見た孫がえらく驚いて感動してくれてね。
本人たちはそう思っていなくても、僕にとって孫達が描いてくれたものは、それだけ尊く大事なものなんだ、ということが伝わって、喜んでもらえたわけです。
何の気なしに描いたものも、額に入れたら素晴らしいアートになる。
受け取る側がアートと思えば、立派なアートなんですよね。
すでにアートに触れている方には、より身近なものでも楽しんで欲しいと思います。

日常を非日常に昇華するための手段、それがアート。
日常にこそアートはある。普段の生活からたくさんのキラキラとした宝を見つけて、楽しんで欲しいですね。

 

虎魚(オコゼ)と笠子(カサゴ)を描いた初期の絵。「ちょうど描き始めて1年目。本来の色とは違う色彩が浮かんでくるようになった頃に描いたものですね」。

 

パステルで描かれた苺と椿。「パステルはよく使います。エッジが出て、僕の線が出せて好きでなんす。色にグラデーションがつけられるし、彩りが綺麗でポップなんですよ」

 

墨彩画で使う道具セット「広い大きな刷毛は、墨彩画で水を使うときに。書を書くときは白鳥の毛の筆を使います。筆はとにかくいっぱいあります、色々と使い分けています」。道具入れはご友人からのプレゼント。「鶴太郎なので、知人が鶴の絵の布で創ってくれました」

 

岩絵具のたらしこみ手法で描かれた金魚。「この画材は、金箔と絹が使われているんです。金沢で金箔を、京都で絹を貼っている。だから高いんですよ(笑)。失敗できないから、緊張しましたね」

 

ABTを使って片岡さんが描いたのは、赤蜻蛉。「トンボさんの筆ペンですから、トンボの絵を描きました。山頭火の句を添えてね。僕はトンボが大好きで、初期の頃からよく書いています。トンボは前に前に進んで、後ずさりをしないんです。勝ち虫で縁起がいい」

 

 

多色な画材は本当にありがたい、と話す片岡さん。「筆ペンは、エッジが決まってくるのでカチッとした線、カチッとした色を出したい時に使います。ABTは108色展開があるので面白いし、楽しいですね。描きたいモチーフによって、遊びながら描けます。

 

 

 

 


 

Profile
片岡鶴太郎
1954年、東京都生まれ。幼少期より役者を夢見て、高校卒業後、片岡鶴八師匠に弟子入りし、3年後には声帯模写で独り立ち。東宝名人会、浅草演芸場の出演、テレビのバラエティ番組で広く幅広い層にファンを得る。その後、俳優としてのキャリアを本格化し、ドラマ・映画・演劇など様々なメディアで活躍し、多くの賞を受賞。芸術家としての一面も持ち、95年に初の個展「とんぼのように」を開催。現在も全国での展覧会開催を実施。「画業25周年・芸能生活45周年 片岡鶴太郎展 顔 – faces –」を、3/13~4/18で浦添市美術館(沖縄県)、4/24~5/23で倉吉博物館(鳥取県)にて開催。

 


撮影/黒澤俊宏
取材・文/坂口みずき

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